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セミナーのお知らせ
行政書士界恒例の秋の大祭典「行政書士有志による市民生活サポート協議会主催 第7回全国研修会」が10月13日・14日に開催されます。
原則として、現役行政書士のための研修会ですが、開業に備える開業志望の有資格者、受験生、そして行政書士とは関係のない一般の方でセミナー内容に興味がある方の参加も可能です。
全国から、先鋭的な活躍をされている行政書士、著名行政書士の方々が多く参加されるので、開業志望者の方にとっては、これらの方々と交流を深めるまたとないチャンスでもあります。
現実の行政書士の世界を知る絶好の機会です。
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前回の試験委員対策的なテーマの中で、「政党国家現象」という用語が出てきました。
(KCC答案練習講座に参加されている方は、憲法の答練講座で試験委員対策として今回のテーマに関する出題がありますので、受講生の方で、このブログをご覧になっている方は、予習として、今回の内容をご利用いただけます。)
歴史的な過程の中で国家意思の形成に政党が事実上主導的な役割を果たしてきたわけですが、
そのために、旧来的な議会と政府との対抗関係が、現代においては政府・与党と野党との対抗関係に変遷している状況を「政党国家現象」といいます。
衆議院第一党集団(つまり、議会、立法権を牛耳っている人達)である自民党の総裁選は、
事実上、内閣総理大臣(政府、つまり行政権を牛耳る内閣の首長)を選ぶ手続でもあります。
となると、憲法条文を勉強した方は、ちょっとまてよとなりますね。
立法権と行政権は、対抗し、相互牽制しながらやっていかないといけないのに、
その事実上のトップが、どちらも同じ人ってどういうこと?という素朴な疑問がわいてくるのではないかと思います。
そんなので、議会(衆議院)側の内閣に対する牽制の切り札である、
内閣不信任案を決議できるのか?
内閣側も、同様の切り札である解散権を行使できるのか?
憲法の規定は絵に描いた餅になるではないか!
という感じになりますね。
だって、議会側・政府側のトップが事実上は同じなわけですから・・。
これでは、与党で仲間割れが起きたときぐらいにしか内閣不信任案決議の可決や衆議院の解散はありえず、なんだかなあという感じですね・・。
(実際、昨年の衆議院解散総選挙も郵政民営化を巡っての自民党内の内紛が原因でしたね。)
というか、仲間割れした方が、権力分立的な権力間の相互牽制が期待でき、
世間で悪の権化のように言われている、
自民党派閥政治バンザイ!になるではないですか。
つまり与党が、絶対的に強く、野党が政権を取れる兆しさえないような(今後はわかりませんが)、
今までの日本政治のような状態の中で、
かつ、与党が一枚岩で内紛なんて絶対ないほどのまとまりを見せていたら、
そっちの方が国民にとっては、怖くて、それこそ、内閣不信任案決議可決も衆議院解散もありえず、
まさに権力分立思想は完全に形骸化してしまうということになります。
なので、強すぎる与党であるならば、派閥があった方がいいということになりますね。
(そうでなくても、政党内に派閥があった方が、より複雑な権力分立構造になるので、よい面があるような気はするのですが・・。
まあ、ただ、世間で一般的に言われている「派閥は悪い」というイメージが何の疑問もなく、
頭の中に完全インプットされている場合は、
そういう視界も開けてこず、ただただ「悪い」という機械的な結論しかでてこないのかもしれないのですが。)
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三権分立思想ができたときは、「政党」なるものの存在は予定されていなかったんですね。
むしろ、国家と政党との関係は敵対関係でさえあったようです。
政党と国家との関係はこのように、
まず、敵視状態から始まり、無視、承認・法制化、憲法編入という段階に進んでいくと解する考え方があります。
この考え方を、「トリーペルの発展図式」といいます。
わが国の政党はトリーペルの発展図式の承認・法制化段階にあると一般に言われています。
政党助成法・政治資金規正法・公職選挙法等の政党関連法がありますからね。
そういう中で、判例(最大判昭45.6.24:いわゆる八幡製鉄政治献金事件判決)も、政党の憲法上の意義について、
「憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、」
「憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、」
「政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素であり、そして同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体であると解する。」
と判示するにいたっています。
ここまで来ると、原始的三権分立思想も、形式的なものとなり、
議会と政府との対抗関係から、
政府与党と野党との対抗関係へと
変遷していくわけですが、この現象を「政党国家現象」と通常呼んでいるわけです。
現実の政治をとらえるには、形式的な憲法条文から見るのではなくて、
実質的なこの「政党国家現象」から見た方がわかりやすいのかもしれませんね。
議会(国会)・政府(内閣)の対抗関係ではなくて、与党・野党の対抗関係から、権力分立を見るという見方です。
そうすると、現実の政治の流れも見やすくなるものだと思います。
(というか、憲法の条文を知らずに現実だけ見ていれば、すぐにわかることでもありますが・・。)
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そして、このように実社会の実態に合わせて、憲法解釈も変わってくるということになります。
つまり、政党国家現象的なものを前提に憲法を解釈していくとかそういうことになってくるわけですね。
憲法のどこにも「政党」なんて書いていないのに、判例が、
「憲法は、政党の存在を当然に予定している」
とまで言い切ってしまうのにはそういう理由があるものだと思われます。
こうして、憲法も形式的条文的世界から飛躍し、解釈を媒介として、新たな姿を現すということになります。
ですので、条文をじっと見ていているだけでは、憲法の中身は見えてこず、
また「判例」もよくわからない意味不明なことをいっているように見えてしまうということにもなるわけです。
様々な背景をもった解釈を理解してはじめて、
法律というものの後姿がようやく見えてくるものであり、
条文だけ眺めているだけでは、実は法律の何も見えていないということになるのではないかとも思います・・。
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