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 憲法37条1項は、以下のように規定しています。

「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」

 これは起訴後の被告人には「迅速な裁判」を受ける権利があるということを規定しているわけですが、

37条1項でいう公平な裁判とは、

判例(最大判昭23.5.5)によると、

「構成其他において偏頗(へんぱ)の惧なき裁判所(裁判官の除斥、忌避及び回避制度等がある)の裁判という意味である。」

とされています。

 また、公開裁判とは、憲法82条1項で定める「対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ」裁判をいうとされています。

 37条1項に関する論点としては、

「迅速な裁判を受ける権利」が、プログラム規定であるのか、抽象的権利であるのか、具体的権利であるのかという問題があります。

 プログラム規定であるとする論者は、上記権利は、確かに憲法上の基本的人権ではあるが、

そもそも適正な裁判をしようと思ったら時間がかかるものだし、

何を持って迅速であるのかよくわからない、

また刑事訴訟法に

「迅速な裁判を受ける権利」に関する規定がないこと等を理由に、

37条1項は、当該権利を一般的に保障するために必要な立法上及び司法行政上の措置を要請するものに過ぎないとします。

 しかし、基本的人権であると認めながらも、刑事訴訟法という憲法よりも下位にある法律に定めがないからといって、

抽象的ないし具体的権利性を認めないのもおかしな話です。

 そこで、通説は、著しい審理の遅延があり、被告人の権利侵害があると認められるような異常な事態が発生したような場合については、

憲法37条1項を直接の根拠として、

刑事訴訟法337条4号の規定に基づく「免訴判決」(同法338条4号に基づく「公訴棄却判決」によるべきであるとする説もあります。判例は免訴判決によるものとしています。)

によって審理を打ち切るべきであるとする「具体的権利説」の立場にあります。

 判例(最大判昭47.12.20)も同趣旨の立場にあり、

「憲法37条1項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判をうける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、その審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことをも認めている趣旨の規定である。」

と判示しています。

 さらに判例は、なにをもって遅延しているとするのかについては、

「具体的刑事事件における審理の遅延が迅速な裁判の保障条項に反する事態に至つているか否かは、遅延の期間のみによつて一律に判断されるべきではなく、遅延の原因と理由などを勘案して、その遅延がやむをえないものと認められないかどうか、これにより右の保障条項がまもろうとしている諸利益がどの程度実際に害せられているかなど諸般の情況を総合的に判断して決せられなければならず、事件が複雑なために、結果として審理に長年月を要した場合はもちろん、被告人の逃亡、出廷拒否または審理引延しなど遅延の主たる原因が被告人側にあつた場合には、たとえその審理に長年月を要したとしても、迅速な裁判をうける被告人の権利が侵害されたということはできない。」

としています。

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 憲法37条2項は、

「刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。」

と規定しています。

 検察側が証人に証言させるのはいいのですが、被告人が一切その証人に反対尋問ができないということになると困りますね。

 被告人にとって不利なことをベラベラとしゃべられ、それについて被告人が一切反論できないという裁判は決して公平なものとはいえません。

 そこで37条2項前段は、被告人に反対尋問の機会が与えられなかったような場合の証人の証言に関しては証拠能力は認めませんという趣旨の内容だと解されています。

 刑事訴訟法(320条1項)上の伝聞証拠禁止の原則

(伝聞(また聞き)による証拠は、証拠能力が認められないとするもの)

は37条2項前段に基づくものであるとされています。

 2項後段は、被告人にとって有利な証人の喚問ができる権利を保障するものであるとされています。

 ただ、判例(最大判昭23.7.29)は、この場合であっても、裁判上、必要適切な証人だけを喚問すればよく、被告人が申請した全ての証人を喚問する必要はないとしています。

 また、公費でとありますが、有罪判決を受けた被告人に訴訟費用負担を命ずることは差し支えないとする考え方が一般的です。

 なお、これらの権利は被疑者には認められないと解されています。

 証人について、

学説は、

37条2項前段上の証人とは「被告人に不利な証人」、同条同項後段の承認は「被告人にとって有利な証人」を指すと考え(実質的意義の証人)、

当該証人が法廷内で証言するしないに関わらず、法廷外でなされた供述に対しても、被告人の反対尋問権は保障されるとします。

 しかし、判例は、宣誓して証言する者(形式的意義の証人:つまり法廷で証言する証人)をいうとし、

法廷外でなされた供述に対する被告人の反対尋問権については原則的に認めないという立場にあります。

 もし、法廷外でなされた供述に対し、尋問したいのであれば、37条2項後段で、当該供述をした人を引っ張ってきて尋問すればいいだけの話なので、

法廷外でなされた供述に対する被告人の反対尋問権をわざわざ認める必要はないとするのがその理由になります。

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 憲法38条2項は、「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。」と規定しています。
 
 また、同条3項は、「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」と規定しています。

 これにより、自白の証拠能力・証明力が制限され、38条1項の「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」という権利の保障の確実性を高め、冤罪の温床となる強引な捜査を防止しようとしています。

 なお、同条に関連し、判例(最大判昭23.7.29)は、「公判廷における任意の自白は、憲法38条3項上の「本人の自白」には含まれない。」としています。
 
 憲法39条は、「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」と規定しています。

 同条前段前半部分は、事後法の禁止ないしは遡及処罰の禁止と呼ばれています。

 今、成年者ならお酒は飲めますね。

で、皆さんが今飲んでいるとします。

ところが、将来禁酒法ができ、当該禁酒法で、過去の飲酒歴を罰せられるということになるとたまったものではありませんね。

 将来の未知の法律により現在が制約されるとするならば、私達は今、何もできなくなります。

 石のように固まって毎日を過ごさなければなりません。

 そんなバカな話はありませんから、遡及処罰の禁止は当然のことといってよいことでしょう。

 また、この原則は罪刑法定主義の内容でもあり、憲法31条とも被る部分でもあります。

 同条前段後半部分については、

一事不再理(被告人にとって不利な内容に、一度「確定」した判決を変更することの禁止:大陸法的な発想)

を定めているという見解と、

二重の危険(同じ犯罪につき再度刑事裁判を受けること:英米法的な発想:ダブル・ジョパディー:Double- Jeopardy:トワイス・ジョパディー:Twice Jeopardy)の禁止を定めているという見解とに分かれます。

 また同条後段も、同じく一事不再理を定めたものだ、二重の危険の禁止ないし二重処罰の禁止(ひとつの犯罪につき重ねて刑事上の責任を問わない)を定めたものだという見解に分かれています。

    39条前段後半       39条後段


1.説  一事不再理       一事不再理
2.説  一事不再理      二重処罰の禁止
3.説 二重の危険の禁止   二重の危険の禁止

 どの説をとるかで違いが出てくるのは、検察官による上訴(控訴等)が違憲か否かという議論においてです。

 例えば上記1.説(一事不再理説)によると、上訴は合憲と解され、ところが、3.説(二重の危険説)によると違憲となる可能性があります。

 英米法では、二重の危険禁止原則に基づき、上訴は禁止され、下級審の陪審裁判に対する判決に対して検察官が有罪ないしより重い刑の判決を求めることは禁止されているからです。

 しかしながら、判例(最大判昭25.9.27)は、39条上の「既に無罪とされた」という文言を、

下級審判決ではなく、確定された無罪判決

(控訴されなかった第一審判決、上告されなかった第二審判決、上告審判決)

ととらえ、ゆえに上訴は憲法に違反しないとし、以下のように判示しています。

「元来一時不再理の原則は、何人も同じ犯行について、二度以上罪の有無に關する裁判を受ける危険に曝さるべきものではないという根本思想に基くことは言うをまたぬ。

そして、その危険とは、同一の事件においては、訴訟手続の開始から終末に至るまでの一つの継続的状態と見るを相当とする。

されば、一審の手続も控訴審の手続もまた、上告審のそれも同じ事件においては、継続せる一つの危険の各部分たるにすぎないのである。

従って同じ事件においては、いかなる段階においても唯一の危険があるのみであつて、

そこには二重危険(ダブル、ジェバーディ)ないし二度危険(ワイス、ジェバーディ)というものは存在しない。

それ故に、下級審における無罪又は有罪判決に對し、検察官が上訴をなし有罪又はより重き刑の判決を求めることは、

被告人を二重の危険に曝すものでもなく、従ってまた憲法第39条に違反して重ねて刑事上の責任を問うものでもないと言わなければならぬ。」

 これによると、39条前段後半・39条後段の解釈を「一事不再理説」・「二重の危険説」等いずれの立場によるとしても結論としては大差がなくなることになります。

 なお、刑事事件における再審

(一定の要件を満たす重大な理由がある場合に、確定判決につき再審理を行なうこと:刑事訴訟法435条以下)

は、

「有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。」となっており、

これはまさに、一事不再理原則の表れといえます。

 39条の「重ねて刑事上の責任を問わない」(二重処罰禁止)という部分で問題となるのが、以下のような論点です。

 一事不再理は、再度の公訴提起を許さないという観点からの考えですが、二重処罰禁止は、二重に罰を科せられないという観点からの考えです。

 ゆえに二重処罰禁止の観点からみた場合、刑罰と行政上の秩序罰が重複した場合に許されるか否かという問題が浮上します。

 結論からいうと、学説は重複しても問題ないと考えています。

 なぜなら、39条は「重ねて「刑事上」の責任を問われない」という文言になっており、行政の秩序罰は、刑事上の責任とはいえないからというのが理由になります。

 判例(最判昭39.6.5)も、「両者は目的、要件及び実現の手続を異にし、必ずしも二者択一の関係にあるものではなく併料を妨げないと解すべき」であるとしています。

 また、判例(最大判昭33.4.30)は、加算税と罰金刑との併料についても、ほぼ同様の理由により、併料は認められると解しています。

 行政書士試験には刑事法は出題されず、刑事手続に関することもなじみが薄いので、受験生にとっては、日本国憲法上の刑事手続上の権利保障に関する規定はハードに感じるかもしれません。

 しかし、受験生のほとんどが苦手とする部分ですから、逆に得意にしてしまえば、有利になるかと思います。

 日本国憲法上における刑事手続上の権利保障については、ここまでみてきたように非常に詳細に定められています。

これは、世界に類をみないことで、他国憲法ではここまで詳細な規定は置かれていません。

 それだけ、戦前の刑事手続上における人権侵害が酷く、その反省から日本国憲法ではここまでの規定が置かれるようになったということです。

 被疑者となっただけで、まだ逮捕や起訴すらされてない段階から、犯人確定のような扱いをする風潮が日本には今だ見られるわけですが、

日本国憲法には詳細な刑事手続上の権利保障が置かれても、人々の刑事手続上の人権意識はまだ熟成されていないような気もしないでもないです・・。

 しかし、行政書士は刑事告訴・告発業務に携わることもある職能ですので、薄い刑事手続上の人権意識しかないということではとても困るものだと思います。

 実務に就くことを考えてらっしゃる方は、この分野(刑事法分野)についても精通しておく必要があるわけですが、

まずは刑事訴訟法の基礎でもある憲法の刑事手続上の権利保障規定についても、しっかりと学習しておくことをお勧めいたします。

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