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 憲法29条3項は以下のように規定しています。

「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」

 そのまま読めば、公共のために必要がある場合は、金を払えば、私有財産を取り上げることができるということですが、

これだけでは、

1.公共のために必要がある場合とは具体的にどういう場合か?

2.金を払えばということだけれども、具体的にいくら払えばいいのか?

等が全然わかりませんね。o(-_-;*)

 憲法は条文数が少ないために大雑把なことしか定めておらず、

条文だけ読んでも、アバウトすぎてなんのことかよくわからないものです。(^.^;

 だからこそ、憲法条文を解釈し、その意味を明らかにしようとする「判例」や「学説」等が重要になってくるわけです。

(行政書士試験においてももちろんそうです。)

 さて、1.については、

間接的にでも公共の利益達成のために必要であれば「公共のため」となり、

あらゆる私有財産の剥奪、制限が可能であると解する立場(広義説)が判例・通説の立場です。

 道路やダムを作るために、ある人の私有財産を取り上げる。

 作った道路やダムは直接的にみんなに使われるものとなりますね。

 こういう場合だけではなく、

一見するとみんなのためではなく、

特定の人のためにしかならないような場合でも、私有財産の剥奪等が可能であると考えるのが広義説です。

 例えば、大地主から農地を取り上げて、小作農に安い値段で分け与える。

 農地改革ですね。

 これ、一見すると得しているのは小作農の方々だけのように見えます。

 こういうのも公共のためになるのだと考えるわけです。

 なぜなら、農地改革を行なうことにより、小作農の方々は、

「これからはこの田は自分のものだ!小作料を払わなくていいんだ!がんばればがんばるほど、自分の収入になる。これからは地主のためではなく、自分のために働けるんだ!がんばろう!」

となって、頑張るだろう、

そうなれば農作物の生産が増えて、結果、国民全体も豊かになる、

ゆえに間接的に公共の利益となっている、だから、大地主から土地を剥奪し、小作農に安い値段で払い下げすることも、「公共のために用いる」ことになる。

 このように考えたりするのが広義説ということになります。

(逆に、ダムや道路を作る場合のように直接的にみんなのためになる場合にしかダメで、しかもあらゆる財産の剥奪・制限ができるものではなく、収用しかできないと考える考え方を「狭義説」といいます。)

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 また、

そういう形で私有財産の剥奪等をした場合に補償が必要とされるのは、「特別な犠牲」が発生したときだけであると考えられています。

 財産権という人権にも、内在的制約があると考えられています。

 そして、その内在する制約に基づき制限する場合は「特別な犠牲」ではないので、

補償は必要ないが、

当該内在的制約を超えて、「特別の犠牲」を強いる場合には補償が必要であるとするのが通説的な考え方です。

 では、「特別の犠牲」とは具体的には何かということですが、

判例の立場に近い考え方では、

一般を対象とする制約か、特定の人のみに対する制約か(形式的基準)

財産権に内在する制約か、あるいはそれを超え、そして財産権の実質あるいは本質を侵す強度な制約か(実質的基準)

を総合的に判断し特別の犠牲か否かを判断するとします(形式・実質2要件説)。

 ただ、形式的基準の判断は困難なので、実質的基準のみを用いて判断すればいいという説(実質要件説)も有力な説です。

 実質的基準を用いる例として、自動車を持つのであれば、車庫を持てという制約を考えて見ましょう。

 車庫なくして自動車を持てるとしちゃうと、そこら辺に車を止めまくる輩がたくさん出てきて、大勢の人に大迷惑をかけることになりますね。

 車を持つならガレージを持つ、そうでなければ車を持つ資格はない、こんなの当たり前のことですから、内在的制約であると考えるわけです。

 とするならば、特別の犠牲ではないので、補償する必要もない、こういう風に判断するということです。

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 次に2.を考えみましょう。

 補償が必要だとして、実際にいくら払えばいいのかということですね。

 財産権を剥奪・制約したことによって発生するすべての損失を補償しなければならないとする考え方を「完全補償説」といいます。

 対して、農地改革のときのように、大地主から安い値段で土地を取り上げ、

(この改革を行なったのは戦後まもなくの頃のことであり、しかも大規模な改革ですから、土地を取り上げた地主全員に完全補償をすることは財政的にも到底無理だったわけです。)

小作農に安い値段で分配する場合のように、

そういう政策の必要性、社会・経済情勢等をも考慮に入れて、

相当または合理的であると思われる額を補償すれば足りるというような考え方を「相当補償説」といいます。

 他にも「折衷説」・「独占財産・生存財産区別説」等の少数説もありますが、まあ行政書士試験においては、「完全補償説」と「相当補償説」の2つぐらいを理解しておけば十分かと思います。

 判例は、「完全補償説」が原則、農地改革のような特殊な場合にのみ例外的に「相当補償説」に立つことを認めるとしているものと思われます。

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