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 前回の内容を問題で確認してみましょう。

(行政書士試験 平成17年度憲法科目「問題4」より以下引用)

 次の文章は、ある最高裁判決の補足意見の一節である。

 選択肢1.〜5.のうち、この補足意見とは考え方の異なる見解はどれか。

 選挙運動においては各候補者のもつ政治的意見が選挙人に対して自由に提示されなければならないのではあるが、

それは、あらゆる言論が必要最少限度の制約のもとに自由に競いあう場ではなく、各候補者は選挙の公正を確保するために定められたルールに従って運動するものと考えるべきである。

 法の定めたルールを各候補者が守ることによって公正な選挙が行なわれるのであり、そこでは合理的なルールの設けられることが予定されている。

 このルールの内容をどのようなものとするかについては立法政策に委ねられている範囲が広く、それに対しては必要最少限度の制約のみが許容されるという合憲のための厳格な基準は適用されないと考える。


(最判昭和56年7月21日刑集35巻5号577頁以下)

1.

 憲法47条は、国会議員の選挙に関する事項は法律で定めることとしているが、これは、選挙運動については自由よりも公正の観点からルールを定める必要があり、そのために国会の立法裁量の余地が広い、という趣旨を含んでいると考えられる。

2.

 国会は、選挙区の定め方、投票の方法、日本における選挙の実態など諸般の事情を考慮して選挙運動のルールを定めうるのであり、これが合理的とは考えられないような特段の事情のない限り、国会の定めるルールは各候補者の守るべきものとして尊重されなければならない。

3.

 公職選挙法による戸別訪問の禁止は、表現の自由を制限するものと考えれば、これを合憲とするために要求される厳格な基準に合致するとはいえないが、選挙の公正を碓保するためのルールであると考えられるので、そこに一定の合理的な理由が見出される限りは、国会の立法裁量を尊重すべきであり、合憲的な規制であると考えられる。

4.

 戸別訪問には、選挙人の生活の平穏を害し、買収・利害誘導等の温床になりやすいなどの弊害が伴うことは否定できない一方、これを禁止する公職選挙法の規定は、自由な意見表明そのものの制約を目的とするものではなく、意見表明の手段方法がもたらす弊害の防止を目的としているにすぎないから、厳格な基準は適用されず合憲である。

5.

 もとより戸別訪問の禁止が、選挙の公正を確保するための立法政策として妥当であるかどうかについては、考慮の余地があり、実際、戸別訪問の禁止を原則として撤廃すべしとする意見も強いが、これは、その禁止が憲法に反するかどうかとは別問題である。

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正解は以下です。

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正解:4

 公職選挙法の戸別訪問の一律禁止に関しては、前回確認したように、

1.判例理論(弊害説)→「合理的関連性の基準」により判断。

2.違憲説(学説)→「LRAの基準」により判断。

3.立法裁量論(伊藤正己元判事の補足意見)

の主に3つの考え方があります。

 上記1.の判例理論は、

a.戸別訪問には、選挙人の生活の平穏を害し、買収・利害誘導等の温床になりやすいなどの弊害が伴うことが否定できない。

b.戸別訪問を禁止する公職選挙法の規定は、

「自由な意見表明そのものの制約を目的とするものではなく」

「意見表明の手段方法がもたらす弊害の防止を目的としているにすぎない。」

よって、LRAの基準のような厳格な基準は適用されず、

合理的関連性の基準で判断すると、合憲である。

等とするものでしたね。

 対して、学説である2.の違憲説は、規制目的が正当であることについては異論はないけれども、

「選挙活動の自由」は、「自己実現」のみならず、「自己統治」にもかかわる 間接民主制を機能させる上で重要な人権であるので、

 内容中立規制だけれども、「LRAの基準」で厳格に審査し、結果違憲であると判断するものでした。

 そして、学説においては違憲説の立場が非常に有力で、判例理論を痛烈に批判しております。

 そこで、伊藤正己元判事は、「最判昭56.7.21」中補足意見の中で、「「弊害説」で合憲とやっちゃうから、批判が多いのだ、以下のような立法裁量論で、合憲と説明したらどうだ?」という趣旨のことを述べたわけです。

 立法裁量論は、

「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」

とする憲法47条は、

選挙運動に関するルールについて、広く国会の立法裁量を認めるという趣旨を含んだ条文であり、

当該国会が定める選挙運動のルールについては、

合理的とは考えられない特段の事情がない限りは尊重すべきである。

とするものです。

 また、

「戸別訪問の禁止」は、「表現の自由を制限するもの」というよりは、

「選挙の公正を碓保するためのルール」であると考えられるので、

ならば、一定の合理的な理由が見出される限りは、国会の立法裁量を尊重すべきであり、合憲的な規制であると考えたりします。

ただ、やはりこの立法裁量論についても、

1.「選挙の公正を確保するルール」という面を強調しすぎ。

「表現の自由」という面から戸別訪問を見る視点が薄れている。

2. また、47条は、表現の自由を制約することまでを認める立法裁量を許しているわけではない。

等の批判が学説等から寄せられています。

 行政書士試験平成17年度憲法科目「問題4」の選択肢4以外は、

「立法裁量論」(伊藤正己元判事補足意見)に基づく記述であり、

 選択肢4だけが、判例理論なので、補足意見と異なり、

よって、正解は「4」となります。

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