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 前回の記事でも登場した、伊藤正己元最高裁判事は数々の判例に対する反対意見・補足意見を残しています。

 その中でも有名なものがパブリック・フォーラム論です。

 少数者の意見は、マスコミなどを通じてそれを世の中に広く知ってもらうことは必ずしも容易ではありません。

 流行っているもの、大勢の興味を引くものはマスコミも取り上げるでしょうが、少数意見はなかなか取り上げてもらえないということですね。

 よって、少数意見を他人に伝える最も簡便で有効な手段の一つが、ビラ配布ということになります。

 伊藤正己元最高裁判事によると、 

「いかに情報伝達の方法が発達しても、ビラ配布という手段のもつ意義は否定しえないのである。」

 ということで、インターネットが発達したような現在においても、ビラ配布手段の重要性は変わりないとも考えられます。

 そしてビラ配布を規制することが、少数意見が社会に伝達される機会を実質上奪う結果になることも少なくないと伊藤元最高裁判事はいいます。


 だけれども、じゃあ、どこでもビラ配布をしていいのかというと、それはまた別問題ということになります。

駅前広場等の一般公衆が自由に出入りすることのできる場所でも、

他人が所有しているあるいは管理する区域内でそれを行うときには、所有者や管理者の利益に基づく制約を受けざるを得ませんし、

一般公衆が妨害なくその場所を通行できることや、紙くずなどによってその場所が汚されることを防止する等との利益との調整を図る必要もでてきます。

 この点につき、伊藤元最高裁判事は、最判昭和59.12.18において、補足意見として、アメリカの判例理論であるパブリック・フォーラム論に基づいたと思われる考え方を次のように述べています。

「 ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の場を確保することが重要な意味をもつている。

 特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現のための物理的な場所が必要となつてくる。

この場所が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといつてもよい。

 一般公衆が自由に出入りできる場所は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に、表現のための場として役立つことが少なくない。

 道路、公園、広場などは、その例である。これを「パブリツク・フオーラム」と呼ぶことができよう。

 このパブリツク・フオーラムが表現の場所として用いられるときには、所有権や、本来の利用目的のための管理権に基づく制約を受けざるをえないとしても、

その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる。」

 このようなパブリック・フォーラム論は、学説において非常に高い評価を得てはいているのですが、

ただ、上記伊藤元最高裁判事のいうパブリック・フォーラム論はあくまでも、補足意見として述べられたに過ぎず、判例として採用されたものではありません。

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 なお、このパブリック・フォーラム論が補足意見として述べられた事件の概要は、

「駅舎内で駅員の制止を振り切って、ビラを配布し、拡声器で演説をした者に対し、鉄道営業法35条および刑法130条後段の規定により起訴がされた」

というものだったのですが、

 判例は、

「憲法21条1項は、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、

公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであつて、たとえ思想を外部に発表するための手段であつても、

その手段が他人の財産権、管理権を不当に害するごときものは許されないといわなければならないから、

井の頭線吉祥寺駅構内において、他の数名と共に、同駅係員の許諾を受けないで乗降客らに対しビラ多数枚を配布して演説等を繰り返したうえ、

同駅の管理者からの退去要求を無視して約20分間にわたり同駅構内に滞留した被告人4名の本件各所為につき、鉄道営業法35条及び刑法130条後段の各規定を適用してこれを処罰しても憲法21条1項に違反するものでない。」

と判示しています。

 また、伊藤元最高裁判事も、補足意見の中で、パブリックフォーラム論に基づいて考えたとしても、

「被告人らの所為が行われたのは、駅舎の一部であり、パブリツク・フオーラムたる性質は必ずしも強くなく、

むしろ鉄道利用者など一般公衆の通行が支障なく行われるために駅長のもつ管理権が広く認められるべき場所であるといわざるをえず、

その場所が単に「鉄道地」にあたるというだけで処罰が是認されているわけではない。

したがつて、前述のような考慮を払つたとしても、原判断は正当というほかはない。」

 と延べています。

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