戦後、「公共の福祉」の意味を巡って、前回までに見てきた「一元的外在制約説」と「内在・外在二元的制約説」との学説上の対立がありました。

 そのような状況下のもとで、上記2説の後に登場した考え方が、

「一元的内在制約説」という学説です。

 これは、宮沢俊義という人が、その著作の中で解かれたもので、その後の判例や学説に大きな影響を与えたとされています。

 この考え方では、まず、全ての人権は、

1.一律的に(一元的に)憲法上の規定のあるなしにかかわらず、生まれながらにしての(内在的)制約に服し、

2.ある人権と他の人権が矛盾・衝突した場合は、この制約によって調整されるとします。

 そして、その制約を憲法上では、確認的に「公平の保障」という意味で「公共の福祉」と呼ぶわけですが、

それは決して憲法によって(外在的に)課せられるものではなく、あくまでも、憲法規定にかかわらず全ての人権に論理必然的に内在しているものであるとします。

 この説における「公共の福祉」とは、

「人権相互の矛盾・衝突を調整する実質的公平の原理である」

とされており、各人に基本的人権を「公平」にかつ「実質的」に「保障」し、「享受」させるという原理を指します。

 この説においては、公益や公共の安寧秩序というようなもので個々人の人権を制約するということは決して許されないと考えられているということは、前々回での記事でも説明したとおりです。

人権を制約できるのは他の人権しかありえないというように考えているわけです。

(前々回の記事(公共の福祉(一元的外在制約説))の最後でご説明した通説とは、この「一元的内在制約説のことを指しています。」

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 一元的内在制約説では、実際の制約については、権利の性質に応じて、考えられるべきであるとされます。

 具体的には、12条、13条の他に22条、29条2項にて再度「公共の福祉」による制約が謳われている権利については、

政策的制約原理が妥当する機会が多いと思われるため、積極的な制約が予定されているものと考え、

1.「「社会権」を「実質的に保障する」ために、

「自由権の規制」を根拠づける場合には、

「必要な限度の規制」を認め(これを、「社会国家的公共の福祉」という)、」

2.「「自由権」を各人に「公平に保障する」ための制約を根拠づける場合には、

「必要最小限度の規制」のみを認め(これを「自由国家的公共の福祉」という)る、

とします。

 上記の説明は少しわかりにくいかも知れませんので、別の表現を使うと以下のように解してよいものと思います。

 つまり、

 各人が等しく自由に人権行使が行え得る「自由国家」においては、

人権衝突が必然となるわけですが、そのような人権衝突があった場合の調整原理を「自由国家的公共の福祉」と呼び、

憲法12・13条でいう公共の福祉がこれにあたるとされます。

 そして、その場合の制約は、「必要最小限度の規制」のみを認めるということですね。
 
 ここで制約される人権は精神的自由権などであり、これは民主主義国家の存在基盤となるものであるから、

軽々しく規制されるべきものではなく、やむをえず規制される場合があるとしても、「必要最小限の規制」でなければならないとされます。

 次に、憲法では社会権(生存権・教育を受ける権利・勤労の権利等)に関して様々な規定を置いていますが、

仮に所得再分配政策について無策で、経済活動についても野放しにしていると、各人の経済格差が極端に広がることになります。

 こうなると、社会権も絵に描いた餅(実質的に保障されていない状態)となります。

 そこで、これらの「社会権を絵に描いた餅」で終わらせるのではなく、「実質的に国民に保障する」ためには、

国民の経済格差をなるべく小さくするという「社会国家的な配慮」がなされなければなりません。

 そこで、憲法12条、13条の他に

22条、29条2項にて再度「公共の福祉」による制約が謳われている財産権や職業選択の自由は本質的に積極的制約が認められうるものであると考え、

ゆえに、財産権や職業選択の自由の「必要な限度の規制」を認め、

経済格差の広がりを防ごうとしているのだと解し、この場合の公共の福祉を「社会国家的公共の福祉」と呼ぶわけです。

 とはいえども、この場合の規制も、人権の規制である以上、一定の限度が必要となるわけですが、

「必要な限度の規制」といわれても、抽象的すぎて何をどう規制すれば適切であるのかがさっぱりわかりません。

 また、「自由国家的公共の福祉」による「必要最小限の規制」も抽象的で、

人権を制約する立法の合憲性を具体的にどのように判断すればいいのかがよくわからないということになります。

 「細かなところは判例の蓄積を待つ」というのであれば、

あまり「一元的外在制約説」とも変わらないという結果にもなりかねません。

 さらに、一元的内在制約説では、安易に経済的自由権や財産権が制約されるという不安も残ります。

 これらも人権である以上はその制約については慎重でなければなりません。

 そこで、この通説とされる「一元的内在制約説」の趣旨を、より具体的な違憲審査基準として公式化しようとした考え方が登場してくるわけですが、

それがおなじみの「比較衡量論」であったり、

これをさらに進めた「二重の基準論」等であったりするわけです。

 次回は、ここまで見てきた「公共の福祉論」に関する択一問題で、これまでの内容の確認をしてみたいと思います・・。

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