憲法の条文で公共の福祉という言葉が使われているのは以下の4箇所です。

第12条
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に「公共の福祉」のためにこれを利用する責任を負ふ。」
 
第13条
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、「公共の福祉」に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
 
第22条
「何人も、「公共の福祉」に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」
 
第29条2項
「財産権の内容は、「公共の福祉」に適合するやうに、法律でこれを定める。」
 

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 これらを見て、素朴な疑問として、例えば、13条で国民の権利については、
 
「「公共の福祉」に反しない限り、国政上、最大の尊重を必要とする」
 
と規定しているのだから、わざわざ重ねて22条、29条2項でも同様の書き方をしなくてもいいのではないか等の疑問が湧いてこないでしょうか??
 
 もちろん、湧いてきますね。(ということにしておきます・・。)
 
 そこで、この4箇所の「公共の福祉」の意味を巡って、様々な考え方が生ずることになります。
 
 「一元的外在制約説」という考え方は、
 
人権はもともと、生まれもって(内在するという言い方をしたりします・・。)制約を受けるようなものではないけれども、
 
12条、13条の「公共の福祉」の規定があることによって、(外在とかいったりします・・。)
 
全ての人権は一律的に(一元的といったりします・・。)
 
これによって制約を受けるのだというような考え方です。
 
(但し、19条の内心の自由と36条の拷問の禁止は公共の福祉によっても制約は受けません。内心の自由が他人の人権と衝突することは考えられませんし、拷問については「絶対にこれを禁ずる」となっているからです・・。)
 
 つまり、この考え方によると、12条、13条の規定する「公共の福祉」は、人権を制約することのできる一般原理であるということになります。
 
 「12条、13条でちゃんと制約できるとしているのなら、じゃあ、22条、29条2項の「公共の福祉」は別にいらんじゃないか!」
 
との疑問が出てくるわけですけれども、一元的外在制約説では、
 
「そのとおり!別になくていい。22条と29条2項の「公共の福祉」には特別な意味合いなどない!」としたりします。(゚○゚*)
 
 「じゃあ、なんでいちいち、22条と29条2項にも公共の福祉って書いたんだ!」という気がしないでもないですが。σ(^_^;
 
 この考え方は、美濃部達吉という人が唱えた説で、戦後当初の通説だったといわれています。
 
 しかし、一元的外在制約説では、「公共の福祉」を「公共の安寧秩序」とか「公益」というような概念で捉えるので、
 
「公益のためなら、個人の人権なんぞどんどん制約していい!全体のためなら、個人の人権なんてどうでもいい!」
 
というような考え方に発展しないともいえず、ひいては明治憲法下の「法律の留保」付きの人権と同じになってしまわないかという問題があり、現在では通説となりえていません。
 
 ちなみに、現在の通説では、公共の福祉とは、
 
「人権相互の矛盾・衝突を調整する実質的公平の原理である」
 
とされており、
 
公益や公共の安寧秩序というようなもので個々人の人権を制約するということは決して許されないと考えられております。
 
 つまり、「全体のためなら、個人の人権なんかチリくず同然なので、ひょいっと握りつぶしてもいい!」とは考えないということですね・・。
 
「全体のためなら個人の人権なんてチリくず同然!」となってしまうと、
 
それは、まさしく「全体主義」(全体の利益を優先する政治原理)であり、何よりも個人を尊重しようとする(13条)憲法理念と相反することになってしまいます・・。
 
 ですので、個人の人権を制約できるのは、ある個人の人権が別の他人の人権とゴツンとぶつかりあった場合のみであり、
 
(例えば、表現の自由とプライバシー権)
 
このような場合に調整原理として働くのが「公共の福祉」であるというような捉え方をしたりするわけです・・。
 

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