昭和の行政書士試験は、行政書士試験用の一冊本テキストがあれば十分合格が可能といわれておりましたし、実際そうだったと思います。
 
 しかし、それはもう遠い昔の話で、合格率が1桁台となった現在においては、入門用・まとめ用としては、そのような行政書士試験用の一冊本テキストも利用価値があるものだとは思いますが、それだけでは到底合格はおぼつかないものだと思います。
 
 よくよく考えてみても、行政書士試験用の一冊本テキスト等は例えば、憲法や民法に関する記述も薄いものでしたなら、わずか、十数ページ〜数十ページだったりします。
 
 行政書士試験は、最前線の気鋭の学者達が気合を入れて、問題を作っているわけですが、彼らが作る問題がたった十数ページの記述を読んだぐらいで解けるわけがないということは冷静に考えれば自明の理であることがわかります。
 
 独学の方の中には、「テキストに何を選んでいいのかわからない。」という方がおられるかと思いますが、新行政書士試験を突破するためには、できれば法令科目各科目毎に、薄めの入門書一冊(概要を理解するため)、厚めの専門書一冊(辞書代わりに使う、深く調べたい項目を知るために使う等)を揃えるとよいかと思います。
 
(但し、民法については、総則・物権・債権・親族相続の各項目のボリュームが多いですので、こちらは各項目毎に厚めの専門書を揃えた方がいいかも知れません。。)
 
 前述したように、行政書士試験用の一冊本テキストは、多くの受験指導者がいうように、試験の概要を知るための入門用、直前期等のまとめ用・整理用として使うのがベターで、ゆめゆめこれ一冊で合格しようとは思わない方がよいかと思います。
 
 また、厚めの本の方が、内容が詳細に書かれており実はこっちの方が、行政書士試験用の一冊本テキストよりも本当はわかりやすいんですね。
 
 数十ページの記述では、著者も十二分に伝えたいことを伝えることができず、どうしても、詳細を省くしかありませんので、ページ数が少なく一見わかりやすいように見えて実は、あれもこれも飛ばしているので、読んでもわかったようでわからないという状態になってしまったりするわけです。
 
(ですので、わかっている人はまとめ用や整理用には使えるということになります。そうでない場合は、入門用としてしか使えず、読み終わったら次のさらなる詳しい書籍に進む必要がどうしてもあります。)
  
 「えぇ〜、でも、そんなに本を揃えるとお金がかかるよ〜。」とおっしゃるかも知れませんが、学校等に通えば、受講料は数十万余裕でかかりますし、それを思えば、本を揃えて独学することは随分安上がりです。
 
 また本代を惜しんでいると、適確な情報も入ってこないことになります。
 
(これは通学されている方も同じで、通われている学校のテキストにプラスして、分厚い専門的基本書も用意していた方がよいことでしょう。)
 
 行政書士になって、報酬を頂くようになると、数十万の受講料や数万円の本代は軽く回収できます。
 
 行政書士の平均報酬額は以下のとおりです。
 
 
http://www.gyosei.or.jp/ 日本行政書士会連合会HP中)
 
 上記を見ると受任事件1件当たりの報酬額が10万円を超えるものがたくさんありますね。
 
 月に5件こなしたとしても収入が50万円ですから、1ヶ月仕事をすれば、本代も受講料も回収して余りあるということになります。
 
 受験費用を惜しむよりも、できる限り早く合格して、受験費用を回収することを考えた方がいいかもしれません。
 
 「本代にお金をかけないといけないということはわかったけれど、各科目毎に入門用一冊、専門書一冊といわれてもどれがいいかよくわからない。」という方もおられると思います。
 
 これから、おいおいどのようなテキスト、問題集がいいのかのご紹介もしていきたいと思いますが、今回はまず、憲法の入門書と厚めの専門書のご紹介をしたいと思います。
 
 まず、入門書は以下。。
 
入門憲法・行政法―講義用テキスト
入門憲法・行政法―講義用テキスト
 
 三重中京大学現代法経学部助教授の恩地紀代子先生が書かれた入門用の憲法テキストで、重要判例もたくさん掲載されており、やさしくわかりやすく記述されています。
 
 また合わせて行政法の入門テキストにもなっているので、初心者のための行政書士試験用「憲法・行政法」入門テキストとしてはぴったりではないかと思います。
 
 小さなポーチにも入りそうな大きさですから、中上級者も持ち歩いて、知識のまとめ・整理用に使えるのではないかとも思います。
 
 恩地先生自身が書かれた表紙のイラストもセンスがよく、電車の中で読んでいても違和感のないデザインになっています。
 
 厚めの専門書としては、いわずと知れた定番書である以下。
 
(これはちょっと電車の中で読むにはキツイですから、自宅でゆっくりと読まなければなりませんね。。( ゚ー゚))
                  
 死してなお、日本の憲法学界の重鎮として君臨する芦部信喜先生の通称「芦部憲法」の最新版です。
 
 憲法を学ぶ者は誰しも一度は手にする書籍とまでいわれている本ですが、行政書士試験憲法の重要論点が網羅されているにも関わらず、読みやすい内容となっています。
 
 恩地先生の「入門憲法・行政法-講義テキスト」を理解した方なら、十二分に通読・精読できる書物だと思います。
 
 こちらは辞書代わりではなく、できれば全て熟読していただきたい書籍です。
 
 憲法科目の厚めの専門書としてもう一冊、参考までに以下をご紹介します。
 
 
  芦部先生の後を継ぐ、今や憲法界の重鎮となられた高橋和之先生の「立憲主義と日本国憲法」です。こちらも評判が非常にいい憲法学テキストです。
 
 元々は放送大学用のテキストだったものを補正されて出版されたものなので、記述もわかりやすく、色使い等も現代的で見やすい仕上がりとなっています。
 
 もちろん、内容的にも高度なものとなっており、難易度が高まる最近の行政書士試験憲法科目のための底力をつけるためにはもってこいの内容になっているかと思います。
 
 芦部先生の書籍と高橋先生の書籍はできれば2冊とも持っておくとよいかと思いますが、どちらか一冊!というのなら、初心者には、「芦部憲法」を、中上級者には「立憲主義と日本国憲法」をお勧めいたします。
 
 行政書士試験は昨今、法科大学院生や旧司法試験等の受験者がよく受験するようになり、また彼らの合格率はやはり高いものとなっています。
 
 行政書士試験受験者のライバルとなる彼らは当然ながら、分厚い専門書を来る日も来る日も朝から晩まで、読んでいます。
 
 同じ土俵に立って、彼らに打ち勝つためには、彼らと全く同じ勉強をしないといけないというわけではありませんが、(やはり、行政書士試験と司法試験等では違う部分も多いですから)相当近いレベルに持っていって勉強をしなければならないということはまぎれもない事実だと思います。
 
 また、今回ご紹介したような書籍に書かれている内容(判例理論や学説)は、法科大学院生等だけではなく、行政書士試験を作っている学者試験委員の方々が当然ながら共通認識として持っているものでもあります。
 
(もちろん、法律実務家としての共通認識にもなります。)
 
 この共通認識あるいは共通言語といってもよいかも知れませんが、これをもとに試験問題の作成を行うわけですから、当該共通認識、共通言語を知らなければ、試験委員が作る問題を通じての彼らとの意思疎通もできず、蚊帳の外になってしまいます。
 
 当該共通言語を使いこなすことができ、試験問題を通じて試験委員との意思疎通ができる人しか合格できないわけです。
 
(このあたりが合格率が2%〜5%とかになってしまう理由なのかも知れません。)
 
 行政書士試験用の一冊本テキストだけでの学習では、上記共通言語を使いこなすようになることは困難で、気鋭の学者達との試験問題を通じた意思疎通はどうしても難しいものとなることでしょう。
 
 未だに「行政書士試験は簡単だ。そこまでのことをする必要はない。一冊本で十分だ!」という方がおられますが、それは幻想以外の何者でもなく、一冊本で十分なら、合格率が1桁になったりすることはないはずです。
 
 多くの独学者が、この幻想を信じているからこそ、非常に低い合格率となってしまうのではないかと思われます。
 
 一冊本で十分だというような風評に惑わされず、100%(つまり、合格点ぎりぎりの実力)ではなく、120%(合格点を数点ないし十数点オーバーできるぐらいの実力)の実力を身につけることができれば、逆に言えば合格できないはずがないということになります。

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