以前、お約束しておりました、「行政書士」という名称の由来について、述べたいと思います。

 「えぇ、そんなことわざわざ述べるまでもなく、行政関連のお役所に提出する書類を作ったり、手続をしたりする資格を国が作って、その仕事のイメージから「行政書士」と名づけたんじゃあないの。」

 という声が聞こえてきそうですが、それは、大間違いです。(;゚_゚)

 行政書士の仕事は、行政手続関連業務だけがメインなわけではなくて、

「行政書士」という名称から来るイメージからか、一般にはオマケと思われている、

契約書作成等の「権利義務事実証明に関する書類作成」等の仕事も、

行政関連手続業務とともに、ツイン・メイン業務なので、

本来的には、「行政」書士という名称は、その仕事のイメージを忠実に表しているものではありません。

 ではなぜ、わざわざ、誤解を招くような「行政」という用語を冠した名称になっているのでしょうか??

 それを解き明かすため、まず、行政書士資格の歴史をさかのぼってみたいと思います。

 明治初期からの、聞くも涙、語るも涙の、なが〜いお話になりますから、数回に分けて連載いたします。(^_-)☆

 下記によると、

http://www.rotary-no-tomo.jp/jpn/takuwa/takuwa/takuwa_060920.html
http://www.rotary-no-tomo.jp/(ロータリーの友) 中、身近な街の法律家・行政書士のページ)
 
1872(明治5)年に、明治政府が制定した司法職務定制に規定されている「代書人」が行政書士のルーツのようです。

 この「代書人」制度は、以下によると、

http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/1863/1/A03890546-00-042010261.pdf

http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/index.jsp(DSpace at Waseda University 早稲田大学リポジトリ中、近代的司法制度の成立と外国法の影響:p272参照・但し、PDFファイル)

フランス法の影響を受けたもので、司法職務定制案を上呈した、当時の司法卿、江藤新平が招聘した、

フランスの法律家ジョルジュ・ブスケの助言により、

フランスの代訴士(avoué)制度をモデルとして作られたようです。

http://www.moj.go.jp/SHIRYO/shiryo03.html

http://www.moj.go.jp/ 法務省ページ中、司法制度の基礎のページ)

 代訴士とは、書類作成を通じて、法律問題処理に関与する専門職で、イギリスにも似たような職種として、事務弁護士(solicitor)というものがあります。

(なお、フランスの代訴士は近年、以下のavocat制度に、コンセイユ・ジュリディク(法律相談士:主に企業の法律相談に乗る職種)とともに統合されています。)

 代書人制度とともに、同じく、フランスの法律家職制を真似て、

法廷での口頭弁論を通じて法律問題処理に関与する、

代言人(avocat)制度(後に弁護士制度に転換)、

後に公証人制度となる、証書人(notaire)制度も、

同時に作られております。

 と、ここまでは、フランス法の影響を受けて、日本における法律家制度の基盤が作られていたようです。

(法律家制度だけではなく、法制度そのものも、当初はフランス法ないしイギリス法の継受が目立ったようです)

 しかし、江藤新平が明治6年の政変により、大久保利通らの政敵に破れ、西郷隆盛らとともに政府中央から去った後は、法の継受もドイツ法からの影響が徐々に強くなっていったようです。

 憲法(大日本帝国憲法)も、ドイツ法に依拠し整備され、

また、「フランス民法をもって日本民法となさんとす!」

(ようするにフランス民法を訳して、表題だけ日本民法としてしまえ!というような意味だと思いますが)

との江藤新平の号令のもとで、当初フランス民法(ナポレオン民法)の影響を強く受けていた、日本民法草案も、ドイツ法の影響が色濃くなってきます。

(ただし、近年の研究では、「やはり、日本民法に最も影響を与えたのはフランス民法である。」との説も有力になっており、ドイツ民法(草案)を丸呑みしたような継受ではなかったようですが。。)

 そんな中で、当初は、在野法律家二元(代書人・代言人)制度を取るフランスの法律専門職制度を丸写ししたような感じの日本の法律専門職制度も、

在野法律家一元制度を取る、ドイツ法の影響が色濃く見られるようになり、代言人制度は、明治9年の「代言人規則」を得て、

1893年(明治23年)に弁護士法が施行されて、現代の弁護士制度につながるものへと変容していきます。

(ただし、弁護士制度も紆余曲折を得て現代の形になっており、その道は決して平坦ではなかったのですが。。)

 一方、フランス法が起源の代書人制度は、野に放たれたかのような独自の展開を見せるようになります。

(第2話につづく。。。)

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