大阪:佐々木行政書士・マンション管理士事務所ブログ

法務・会計・心理学の1級資格を有する、ビジネス・暮らしの総合アドバイザー

2007年06月

大阪・寝屋川の行政書士・マンション管理士・FPです。東京商工会議所主催ビジネス実務法務検定試験(R)1級・日商簿記1級・日心連心理学検定(R)特1級の3つの1級資格を保持する、おそらく日本で唯一のトリプル1級ホルダーの行政書士だと思います。多角的な視点から思考することができる総合的なサポーターを目指しています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

お問い合わせは、E-MAIL  fwkt0473@mb.infoweb.ne.jp  まで

行政書士・マンション管理士・1級建設業経理事務士 佐々木 賢 一

(商工会議所認定 ビジネス法務エグゼクティブ(R)・日心連心理学検定(R)特1級認定者(第16号)・日商簿記検定1級認定者・FP)

大阪府行政書士会所属(会員番号4055)・大阪府行政書士会枚方支部所属

Website: http://sasakioffice.la.coocan.jp/

憲法正誤問題(公務員の政治活動)

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今回は前回までの内容を正誤問題で確認してみたいと思います。

 以下の記述は最高裁判例に照らし、妥当か否か。

(国税専門官試験 平成10年度憲法科目より以下引用)

「公務員の政治活動の自由の制限については、機械的労務に携わる現業の国家公務員が、勤務時間外に国の施設を利用せず、職務を利用することなく行なった行為にまで刑事罰を適用することは必要最小限の制限といえず、違憲であるとするのが判例である。」

(引用終わり)

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正解は以下です。

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正解:妥当ではない。

 猿払事件(最大判昭49.11.6)をモデルにした設問ですね。 

 最高裁判例は、当該事件を「合理的関連性の基準」で判断し、合憲としたわけですから、違憲だとする1.の選択肢内容は妥当ではありません。

(問題文の記述は猿払事件の第一審判決(旭川地判昭43.3.25)内容で、これはLRAの基準で判断したものだといわれています。)

 最高裁判例は、公務員の政治活動を禁止する国家公務員法等の規制目的は正当で、かつその目的と手段との間には合理的関連性があるとしたわけですが、

 この点につき、「たとえその禁止が、公務員の職種、勤務権限、勤務時間の内外、国の施設の利用の有無等を区別することなく、あるいは行政の中立的運営を直接、具体的に損なう行為のみに限定されていないとしても、右の合理的な関連性は失われるものではない。」と述べています。

 つまり、政治活動を一律全面禁止するという手段をとったとしても、目的との間に合理的関連性があるといっているわけですね。

 ということは、事実上目的が正当でさえあれば、どのような手段であっても、目的との間に合理的関連性があるといえることになり、この点を学説は厳しく批判しています。

 また、合理的関連性の基準の最後の手順である比較衡量について、判例は、

「行動を伴う表現」の中の、

「意見表明部分」そのものを規制しているわけではなく、

行動のもたらす弊害の防止に伴う限度での、

表現活動に対する「間接的、付随的制約」にすぎないので、

「行政の中立的運営、これに対する国民の信頼確保」という

「得られる利益」に比して、

「公務員の政治活動の自由」が制約されるという、

「失われる利益」は小さい

としているわけですが、

 「表現活動に対する「間接的、付随的な制約」に過ぎないから、失われる利益は小さい」ということを言い出すと、

常に得られる利益が優先するということになり、比較衡量も、

形式的・名目的になってしまうという点も学説が厳しく批判するところです。

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寺西裁判官事件(最大決平10.12.1)

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 ごく最近(といっても、もう8年ほど前になりますが)、合理的関連性の基準で、判断が行なわれたものに寺西裁判官事件があります。

 この事件は、経緯は以下のようなものです。

 仙台地裁の寺西裁判官が、通信傍受法制定に反対する団体が主催する集会にパネリストとして参加しようとしたところ、

これを知った仙台地裁所長が、「寺西裁判官のしようしていることは、裁判所法52条1号の禁止する「積極的に政治運動をすること」にあたり、懲戒処分もありえる。」と警告しました。

裁判所法52条

裁判官は、在任中、左の行為をすることができない。
 
1.国会若しくは地方公共団体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。
2.最高裁判所の許可のある場合を除いて、報酬のある他の職務に従事すること。
3.商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。」
 
 寺西裁判官は、この警告を受けて、パネリストとして参加することは辞退したのですが、集会当日に会場には行って、パネルディスカッション開始直前に次のような発言をしました。

「当初、この集会において、パネリストとして参加する予定だったが、

仙台地裁所長から集会に参加すれば懲戒処分もありえるとの警告を受けて、パネリストとしての参加は取りやめた。

 仮にパネリストとして、法案反対の立場で意見表明をしても、自身としては積極的な政治運動に当たるとは考えないが、パネリストとしての発言は辞退する。」

 ところが、裁判所側はこれでも政治活動にあたるとみなし、仙台高裁に分限裁判(裁判官の免職・懲戒を決定するための裁判)の申立がなされ、寺西裁判官に対する懲戒処分(戒告)が行なわれました。

(分限裁判は、裁判所内部処分的な裁判であり、国会における弾劾裁判等が別途開始された場合は、そちらの方が優先し、分限裁判については中止されます。)

 これに対して、寺西裁判官が最高裁に即時抗告(上級裁判所に対する不服申立の一種:行政不服審査法上の審査請求に類似する手続)を行なったというのが、当該事件の事実関係になります。

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 そして、この事案についても、最高裁は、合理的関連性の基準に基づき、決定を行なっているわけですね。

「合理的関連性の基準」で判断する際の手順は、

1.目的の正当性を判断し、2.目的と規制手段との合理的関連性をチェックし、3.最後に比較衡量

 でしたね。

 本件においては、

1.前述の裁判官法52条1項の規制目的の正当性

 裁判官の独立及び中立・公正を確保し、裁判に対する国民の信頼を維持するとともに、三権分立主義の下における司法と立法、行政とのあるべき関係を規律することが規制目的。

 なので、正当。第一段階クリア。

2.目的と規制手段との合理的関連性

 裁判官が積極的に政治活動をすることは裁判官の独立及び中立・公正を害し、裁判に対する国民の信頼を損なうおそれが大きいから、積極的に政治運動をすることを禁止するという規制手段と禁止目的との間に合理的な関連性があることは明らかである。

 なので、第二段階クリア。

3.比較衡量

得られる利益:裁判官の独立及び中立・公正を確保し、裁判に対する国民の信頼を維持する。

失われる利益:裁判官が積極的に政治運動をする自由。

a.しかし、それは、内包される意見表明そのものの制約をねらいとしてではなく、

b.その行動がもたらす弊害の防止をねらいとして禁止するときは、同時にそれにより意見表明の自由が制約されることにはなるが、

c.それは単に「行動の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約」にすぎず、

d.かつ積極的に政治運動をすること以外の行為により意見表明をする自由までを制約するものではない。

よって、

得られる利益>失われる利益

結論:得られる利益は、失われる利益に比べてさらに重要であるから、裁判官法52条1項は、憲法21条に反せず、合憲

(もちろん、学説的には、このような事案もLRAの基準にて判断すべきであるということになるでしょう。)

 ということで、内容中立規制に関する戸別訪問一律禁止に関する判例、猿払事件、寺西裁判官事件は、全て上記のような同じ型の思考過程(合理的関連性の基準)で判断が下されています。

(もう一度、前回、前々前回の記事における猿払事件と戸別訪問一律禁止関連事件における判断内容と今回の判断内容をよく見比べてみましょう。)

 判例を読む際、このような法的思考過程を意識せずに、ただ判例を文章として眺めて暗記するというパターンを採ると、覚えにくいですし、応用問題に対処ができないということになります。

 ところが、上記のような判例が採用している思考過程を理解すると、複数の判例が同時に深く理解できますし、もちろん、応用問題にも対処が可能ということになります。

 判例の字面を追うのではなく、法的思考過程を追うようにすれば、学習時間は節約され、のみならず、理解も深まるという一石二鳥状態になるわけです。

 これこそが、法的思考力を身につけて、絶対合格を目指す学習法であるということです。

 法的思考力をより一層問う試験となった新行政書士試験においては、このような姿勢で学習できるかどうかが合否を分ける鍵となります。

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猿払事件(最大判昭49.11.6)

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 国家公務員法102条とそれを受けての人事院規則14-7により、国家公務員は政治活動を行なうことが制限されています。

 例えば、行政書士が許可申請書類提出手続代理の依頼を受けて、出来上がった書類を持ってある役所に行ったら、

「この申請者、A党の支持者ですね。だから、○○業の許可申請、却下します・・。私、B党のものですから・・。」

とかいわれたら卒倒しそうになりますよね・・・。

 あるいは、総選挙の結果を受けて、政権政党がB党からA党に代わり、甲省のトップである大臣もA党の人が任命されたんだけれども、

当該甲省の職員が、「オレ、B党の支持者だから、A党の大臣のいうことはきけないや〜。大臣の指示は全部無視しよう!」

とかいって、勝手に仕事しだすと、これまた困るということは容易に理解できるかと思います。

 公務員は、政治家である場合が多い各省トップの大臣の指示に従い、国会の制定した法律に忠実に職務を行なう必要があります。

 そのため、職務の政治的中立性を確保する必要性が高く、ゆえに、国家公務員法等にて、政治活動が制約されているということです。

 ですが、政治活動の自由は、自己実現のみならず、自己統治にも深くかかわる重要な権利であり、公務員といえどもゆえなく、制約されるいわれはありません。

 ここで、公務員個々人の政治活動の自由と、公務員の職務中立性の確保とが相反する形となって衝突し、調整の必要が出てくるということになります。

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 猿払事件とは、猿払村というところで起きた事件なのですが、その猿払村の郵政事務官が、総選挙に際し、自身が支持する政党の選挙用ポスターを提示・配布したところ、

国家公務員法等の規定に反するということで起訴されたという事件です。

 地裁判決では、

「非管理職である現業公務員で、その職務内容が機械的労務の提供に止まる者が、勤務時間外に、勤務場所以外の場所に選挙ポスターを張るぐらいのことに刑事罰を加えることは、合理的にして必要最小限の域を超え、国家公務員法等の当該規定は憲法21条に反する」

 として、違憲判決を出しました。

 しかし、最高裁は、この案件についても、前回確認した「合理的関連性の基準」を用い、以下のように合憲であるとの判断を下しています。

「合理的関連性の基準」で判断する際の手順は、

1.目的の正当性を判断し、2.目的と規制手段との合理的関連性をチェックし、3.最後に比較衡量

 でしたね。

猿払事件においては、

1.規制目的の正当性

 政治的中立性を損なう可能性のある公務員の政治的行為を禁ずることは、社会全体の共通利益を擁護するものであるし、憲法上の要請にも応えるものであるから、その目的は一応正当と考えてよいことでしょう。

 ですので第一段階はクリアということになります。

2.目的と手段との合理的関連性

 公務運営が党派的偏向の下で行なわれ、政策の遂行に重大な支障がきたされるという事態を予防するために、公務員の政治活動を禁止するということですから、一応目的と手段との間には合理的な関連性があるといえそうです。

 ですので、ここもクリアということになります。

3.比較衡量

得られる利益:行政の中立的運営、これに対する国民の信頼確保

失われる利益:公務員の政治活動の禁止による公務員の政治活動の自由

 しかし、行動のもたらす弊害の防止を狙いとした政治活動の禁止であるので、意見表明そのものの制約ではなく、単に行動の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎない。

 

よって、

得られる利益>失われる利益

結論:得られる利益は、失われる利益に比べてさらに重要であるから、憲法21条に反せず、合憲

 

 もちろん、上記結論に対し、学説は大ブーイングで、公務員に対する政治活動の制約といえども、必要最小限であることが必要であり、

このような事案に対しては、LRAの基準にて判断すべきであるとする考え方が学説の主流になっていると思われます・・。

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行政書士試験 平成17年度憲法科目「問題4」

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 前回の内容を問題で確認してみましょう。

(行政書士試験 平成17年度憲法科目「問題4」より以下引用)

 次の文章は、ある最高裁判決の補足意見の一節である。

 選択肢1.〜5.のうち、この補足意見とは考え方の異なる見解はどれか。

 選挙運動においては各候補者のもつ政治的意見が選挙人に対して自由に提示されなければならないのではあるが、

それは、あらゆる言論が必要最少限度の制約のもとに自由に競いあう場ではなく、各候補者は選挙の公正を確保するために定められたルールに従って運動するものと考えるべきである。

 法の定めたルールを各候補者が守ることによって公正な選挙が行なわれるのであり、そこでは合理的なルールの設けられることが予定されている。

 このルールの内容をどのようなものとするかについては立法政策に委ねられている範囲が広く、それに対しては必要最少限度の制約のみが許容されるという合憲のための厳格な基準は適用されないと考える。


(最判昭和56年7月21日刑集35巻5号577頁以下)

1.

 憲法47条は、国会議員の選挙に関する事項は法律で定めることとしているが、これは、選挙運動については自由よりも公正の観点からルールを定める必要があり、そのために国会の立法裁量の余地が広い、という趣旨を含んでいると考えられる。

2.

 国会は、選挙区の定め方、投票の方法、日本における選挙の実態など諸般の事情を考慮して選挙運動のルールを定めうるのであり、これが合理的とは考えられないような特段の事情のない限り、国会の定めるルールは各候補者の守るべきものとして尊重されなければならない。

3.

 公職選挙法による戸別訪問の禁止は、表現の自由を制限するものと考えれば、これを合憲とするために要求される厳格な基準に合致するとはいえないが、選挙の公正を碓保するためのルールであると考えられるので、そこに一定の合理的な理由が見出される限りは、国会の立法裁量を尊重すべきであり、合憲的な規制であると考えられる。

4.

 戸別訪問には、選挙人の生活の平穏を害し、買収・利害誘導等の温床になりやすいなどの弊害が伴うことは否定できない一方、これを禁止する公職選挙法の規定は、自由な意見表明そのものの制約を目的とするものではなく、意見表明の手段方法がもたらす弊害の防止を目的としているにすぎないから、厳格な基準は適用されず合憲である。

5.

 もとより戸別訪問の禁止が、選挙の公正を確保するための立法政策として妥当であるかどうかについては、考慮の余地があり、実際、戸別訪問の禁止を原則として撤廃すべしとする意見も強いが、これは、その禁止が憲法に反するかどうかとは別問題である。

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正解は以下です。

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正解:4

 公職選挙法の戸別訪問の一律禁止に関しては、前回確認したように、

1.判例理論(弊害説)→「合理的関連性の基準」により判断。

2.違憲説(学説)→「LRAの基準」により判断。

3.立法裁量論(伊藤正己元判事の補足意見)

の主に3つの考え方があります。

 上記1.の判例理論は、

a.戸別訪問には、選挙人の生活の平穏を害し、買収・利害誘導等の温床になりやすいなどの弊害が伴うことが否定できない。

b.戸別訪問を禁止する公職選挙法の規定は、

「自由な意見表明そのものの制約を目的とするものではなく」

「意見表明の手段方法がもたらす弊害の防止を目的としているにすぎない。」

よって、LRAの基準のような厳格な基準は適用されず、

合理的関連性の基準で判断すると、合憲である。

等とするものでしたね。

 対して、学説である2.の違憲説は、規制目的が正当であることについては異論はないけれども、

「選挙活動の自由」は、「自己実現」のみならず、「自己統治」にもかかわる 間接民主制を機能させる上で重要な人権であるので、

 内容中立規制だけれども、「LRAの基準」で厳格に審査し、結果違憲であると判断するものでした。

 そして、学説においては違憲説の立場が非常に有力で、判例理論を痛烈に批判しております。

 そこで、伊藤正己元判事は、「最判昭56.7.21」中補足意見の中で、「「弊害説」で合憲とやっちゃうから、批判が多いのだ、以下のような立法裁量論で、合憲と説明したらどうだ?」という趣旨のことを述べたわけです。

 立法裁量論は、

「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」

とする憲法47条は、

選挙運動に関するルールについて、広く国会の立法裁量を認めるという趣旨を含んだ条文であり、

当該国会が定める選挙運動のルールについては、

合理的とは考えられない特段の事情がない限りは尊重すべきである。

とするものです。

 また、

「戸別訪問の禁止」は、「表現の自由を制限するもの」というよりは、

「選挙の公正を碓保するためのルール」であると考えられるので、

ならば、一定の合理的な理由が見出される限りは、国会の立法裁量を尊重すべきであり、合憲的な規制であると考えたりします。

ただ、やはりこの立法裁量論についても、

1.「選挙の公正を確保するルール」という面を強調しすぎ。

「表現の自由」という面から戸別訪問を見る視点が薄れている。

2. また、47条は、表現の自由を制約することまでを認める立法裁量を許しているわけではない。

等の批判が学説等から寄せられています。

 行政書士試験平成17年度憲法科目「問題4」の選択肢4以外は、

「立法裁量論」(伊藤正己元判事補足意見)に基づく記述であり、

 選択肢4だけが、判例理論なので、補足意見と異なり、

よって、正解は「4」となります。

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合理的関連性の基準

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 表現の自由に関する規制に対する審査基準として、

学説は、

a.表現内容に着目して規制する場合(内容規制)は、

最も厳しい違憲審査基準である、

「明白かつ現在の危険基準」(CPD)を用いて判断する、

b.表現手段に着目して規制する場合(内容中立規制)は、

「LRAの基準」(より制限的でない他の選びうる手段)を用いて判断する、

とする2分論を採る考え方が主流だと思われます。

 では、判例理論はというと、

内容規制については、前々回紹介したレペタ訴訟判決でも、

「筆記行為の自由は、憲法二一条一項の規定によつて直接保障されている表現の自由そのものとは異なるものであるから、

その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではないというべきである。」

と延べ、メモを採ることは表現の自由そのものではないので、厳格な基準を使って判断しないけれども、

表現の自由そのものであるならば、「厳格な基準」が要求されると裏読みできるような内容になっています。

 CPD等を使うと具体的審査基準を明示しているわけではありませんが、少なくとも内容規制については、判例も「厳格な基準」で裁くのだと通常は考えられています。

 では、「内容中立規制」の方はどうなのかというと、判例は、学説のようなLRAの基準を使うのではなくて、

それよりも、緩やかな審査基準である、規制の必要性と合理性があれば、当該規制は合憲であるとする「合理的関連性の基準(合理性の基準と呼ばれる場合もあります)」を用いています。

 合理的関連性の基準では、まず、「規制目的の正当性」を審査し、続いて、「目的と規制手段との合理的関連性」を審査します。

 最後に、比較衡量論的に、「規制により得られる利益と失われる利益との均衡」をチェックし、合憲か否かを判断するという形になります。

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 公職選挙法138条は、選挙立候補者等による戸別訪問を一律に禁止しています。

 この規定が合憲か、違憲か、「合理的関連性の基準」を使って判断してみましょう。

 手順は、1.目的の正当性を判断し、2.目的と規制手段との合理的関連性をチェックし、3.最後に比較衡量です。

1.規制目的の正当性

 戸別訪問を野放しにすると、玄関先で有権者が買収されたり、また朝であろうが深夜であろうが候補者がやってきて、生活の平穏が妨害されたりします。

 戸別訪問の規制はこれらの弊害を防止し、選挙の自由と公正を確保しようとするものですから、目的は正当であると解されます。

 ですので、第一関門はクリアということになります。

2.目的と手段との合理的関連性

 観念的、抽象的な関連性ではありますが、個別訪問の一律禁止と上記1.における禁止目的には一応、合理的な関連性があると考えられます。よって、一応、ここもクリアとなります。

3.比較衡量

得られる利益:選挙の自由と公正の確保

失われる利益:戸別訪問一律禁止による選挙活動の自由

 しかし、別に戸別訪問が一律禁止されたところで、他にいくらでも選挙活動方法はあるわけだから、そっちでやればいい話であって、

戸別訪問が一律禁止されたところでたいしたことはないだろうと考えられないこともないですね。

 また、最も尊重すべき人権である表現内容の直接的な規制ではなく、

(つまり、特定政党の思想を封じ込めるというものではなく)

あくまでも、意見表明の「手段」方法に伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎず、

(A党の人も、B党の人も、皆一律に戸別訪問やめてね、み〜んなに禁止するから、特定政党の思想を封じ込めるというものではありませんよ。

他の方法があるだろうからそれで選挙活動してね!という程度の制約である)

よって、

得られる利益>失われる利益

となり、

結論:得られる利益は、失われる利益に比べてはるかに大きいから、憲法21条に反せず、合憲

と判断できます。

 判例(最判昭56.6.15)は、上記とほぼ同様の思考過程の下での判断で、戸別訪問の一律禁止は、合憲であるとしていますが、

(加えて、判例は、

「戸別訪問を一律に禁止するかどうかは、専ら選挙の自由と公正を確保する見地からする立法政策の問題であつて、

国会がその裁量の範囲内で決定した政策は尊重されなければならない」

とも述べ、合理的関連性の基準からだけではなく、立法裁量論からみても、合憲と判断しています。

よって、合理的関連性の基準+立法裁量論の見地から合憲との判示を行なっているようです。

なお、別の同種事件に関する判例(最判昭56.7.21)の補足意見において、

伊藤正己元裁判官が合理的関連性の基準を主とした見解ではなく、立法裁量論の方に重きをおいたかに思える見解を示しています。

それによると、

「憲法47条は、国会議員の選挙に関する事項は法律で定めることとしているが、これは、選挙運動のルールについて国会の立法の裁量の余地の広いという趣旨を含んでいる。」として、

戸別訪問の禁止については、憲法47条を主軸として考える必要があるとの見解を示しています。

日本国憲法第47条

「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」)

学説の当該判例に対する評判は非常に悪く、前述したようにこのような場合は、「LRAの基準」を用いて判断すべきであるとしています。

つまり、

1.立法目的は正当である。だから、規制目的の正当性のチェックはクリアするが、

2.規制方法については、より制限的でない他の選びうる手段が山ほどある。

 つまり、一律訪問禁止としなくても、

a.買収防止等については、違反者に対する罰則加重等により、防止できる。

b.市民の生活平穏保護については、訪問時間を制限し、例えば、早朝は禁止、深夜も禁止等の手段を用いれば対応できる。

よって、LRAの基準によれば、「より制限的でない他の選びうる手段」がひとつでもあれば、違憲と判断されますので、

上記のようにいくらでも他手段はあるわけですから、

結論:公職選挙法138条は、違憲である。

となります。

 なお、上記で確認した判例理論である「合理的関連性の基準」は、公務員の政治活動の自由規制を巡る事件である、猿払事件(最大判昭49.11.16)、寺西裁判官懲戒処分事件(最大決平10.12.1) 等においても審査基準として用いられています。

 では、今回の内容を正誤問題で確認してみましょう。

 憲法21条に関する以下の記述は妥当か否か。

(国税専門官試験 平成10年度憲法科目より以下引用)

「公職選挙法による戸別訪問の禁止は、意見表明の手段方法のもたらす弊害を防止し、もって選挙の自由と公正を確保することを目的とし、さらに意見表明の手段方法に伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎない反面、禁止により得られる利益は失われる利益に比しはるかに大きいから、憲法に反するものではないとするのが判例である。」

(引用終わり)

正解は以下です。

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正解:妥当である。

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わかる行政書士予想問題集 法令編 平成19年版 (2007)

わかる行政書士法令編・要点整理 平成19年版 (2007)

民法正誤問題(法定地上権)

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 さてメルマガ21号では法定地上権を取り上げました。

 メルマガ21号を読み終わった方は、合わせて以下の正誤問題を解いてみると、知識の定着を図れるものと思います。

(民法正誤問題)

 以下の記述は、民法の規定及び判例に照らして妥当であるか否か。

(平成12年国家公務員1種試験民法科目より以下引用)

「 Aの所有する土地の上にBの所有する建物が存在し、土地につきCのために抵当権が設定され、その後、Bが当該土地の所有権を取得した後、Eのために土地につき2番抵当権が設定された場合において、抵当権が実行され、競売の結果、Dが当該土地の所有権を取得したときは、法定地上権は成立しない。」

(引用終わり)

(民法正誤問題終わり)

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正解は以下です。

| 

正解:妥当である。

 判例(最判平2.1.22)によると、

 土地について1番抵当権が設定された当時土地と地上建物の所有者が異なり、


法定地上権成立の要件が充足されていない場合には、

1番抵当権者は、法定地上権の負担のないものとして、

土地の担保価値を把握するのであるから、後に土地と地上建物が同一人に帰属し、

後順位抵当権が設定されたことによって法定地上権が成立するものとすると、

一番抵当権者が把握した担保価値を損なわせることになるため、

本問のようなケースにおいては、法定地上権は成立しないと解するのが相当となります。


 より、詳しい解説は以下の当メルマガバックナンバーでご確認のほど宜しくお願いします。。

http://blog.goo.ne.jp/houtekisikou2007/e/0e6517767bd3e20cd83cfc58eb9b0e43

(法的思考力を身につけて、絶対合格行政書士バックナンバー)

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行政書士試験 平成18年度憲法科目「問題5」

 前回に引き続き、表現の自由に関する「自己実現、自己統治の価値と知る権利」について、問題で確認してみましょう。

(行政書士試験 平成18年度憲法科目「問題5」より以下引用)

 次の文章は、表現と行為の関係に言及した、ある最高裁判所判決の一節である。これを読み、同様に純然たる意見表明ではない各種の行為に対して、判例が採っている考え方として誤っているものは、次の1〜5のうちどれか。

 憲法21条の保障する表現の自由は、民主主義国家の政治的基盤をなし、国民の基本的人権のうちでもとりわけ重要なものであり、法律によってもみだりに制限することができないものである。そして、およそ政治的行為は、行動としての面をもつほかに、政治的意見の表明としての面をも有するものであるから、その限りにおいて、憲法21条による保障を受けるものであることも、明らかである。

1) 国家公務員法102条1項および人事院規則によって公務員に禁止されている政治的行為も多かれ少なかれ政治的意見の表明を内包する行為であるから、もしそのような行為が国民一般に対して禁止されるのであれば、憲法違反の問題が生ずる。

2) 国家公務員法102条1項および人事院規則による公務員に対する政治的行為の禁止が、憲法上許容されるか否かを判断するにあたっては、禁止の目的、この目的と禁止される政治的行為との合理的関連性、政治的行為を禁止することにより得られる利益と禁止することにより失われる利益との均衡の三点から検討することが、必要である。

3) 一般人の筆記行為の自由について、それが、さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補肋するものとしてなされる限り、憲法21条の視定の精神に照らして十分尊重に値するが、表現の自由そのものとは異なるため、その制限や禁止に対し、表現の自由の場合と同等の厳格な基準は要求されない。

4) 報道機関の報道行為は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものであるから、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、表現の自由を想定した憲法21条の保障のもとにある。

5) 報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道のための取材行為も、憲法21条の規定の精神に照らし、十分尊重に値するから、報道の公共性や取材の自由への配慮から、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷においてメモを取ることを許可することも、合理性を欠く措置とはいえない。

(引用終わり)

正解は以下です。

| 

正解:3

 昨年度行政書士試験の問題の中では難易度が最も高いものといわれている問題です。

 しかし、前回の問題を理解した方にとってはさほど難しい問題ではないと思います。

 選択肢3は、

一般人の「筆記行為の自由」につき、ただ単に「尊重されるべきもの」と述べ、

「十分尊重に値する」とする「取材の自由」とは、

尊重の度合いが違うと述べている判例の考え方と異なります。

 よって、選択肢3が正解ということになります。

 他の選択肢は全て判例の考えと異なるところはありません。

 もし、前回説明したような内容を知らなかったとしても、以下のような思考により解くことは可能かと思います。

 その解き方のコツとしては、ともに「憲法21条の規定の精神に照らして十分尊重に値する」と記述されている、

選択肢3と選択肢5に着目するとよいことでしょう。

 つまり、問題文によると、一般人の筆記行為の自由も、取材の自由も、「十分尊重に値する」としているわけですから、そうであるならば、両者の尊重の度合いは異ならないはずです。
 
十分尊重に値する=取材の自由に基づく記者のメモ行為=一般人の筆記行為の自由・・問題文から導き出される公式
  
 上記のようになるはずですね。
 
 ですが、選択肢5においては、一般人の筆記行為よりも、

取材の自由への配慮から報道記者の法廷内におけるメモ行為すなわち、

記者の筆記行為の方が優先するかのごとくの記述になっています。

 つまり、

十分尊重に値する=取材の自由に基づく記者のメモ行為

取材の自由に基づく記者のメモ行為>一般人の筆記行為

十分尊重に値する≠一般人の筆記行為

 となると、

十分尊重に値する=取材の自由に基づく記者のメモ行為≠一般人の筆記行為の自由

となり、

問題文から導き出される公式と矛盾する内容になるわけですから、選択肢3と5のいずれかが誤りではないかとの推測ができることになります。

 単なる傍聴人は、積極的に訴訟に参加する立場にはなく、また訴訟を傍聴した内容を広く一般に知らしめるという役割を担っているわけでもなく、

自分自身の研究のため、

(実際、選択肢3、5の訴訟の原告となったアメリカの弁護士は、経済法の研究のために当該訴訟を傍聴しておりました)

「自己実現価値」のために傍聴しているわけですが、

報道記者が採るメモは、取材の一環であり、またそれを報道することによって、市民の知る権利に資するために行なわれるものであり、

常識的感覚からすると同じ尊重すべきものだとしても、後者の尊重の度合いの方がより高いのではないかとの推測ができるのではないかと思います。

 以上から、選択肢5と同じ度合いで「十分尊重に値する」と記述されている、選択肢3は誤りではないかと結論づけることができます。

  十分尊重に値する≠一般人の筆記行為の自由

 問題5の柱書で引用している判例でも、「自己統治」に関する事柄が述べられています。

 とするとなおさら、選択肢中、唯一「自己実現」に関し述べている選択肢3は正解ではないのではないかという確認もできるものだと思います。

(問題5の柱書は、正解に直接関連する記述ではありませんが、おそらくヒントを与えるという目的で用意されたものだと思われます。)

 前回の当ブログの内容を理解していればこのような推測をすることなく正解にたどり着くことはできるわけですが、

そうでなくても、法的思考力を働かせば、なんとか正解を導き出すことができる問題ではないかと思います。

 ただ、従来の試験勉強のように判例の結論や条文を単なる知識として覚えているだけでは手も足も出ない問題だったとはいえることでしょう。

 そういう意味で、法的思考力をより一層問うこととなった行政書士試験における象徴的な問題だと考えられ、

今後の試験傾向を予測する上でも参考になる問題ではないかと思います。

 非常によく練られた作問(作品)で、作問者の渾身をこめた気持ちが伝わる良問であったのではないでしょうか・・。

 もちろん、受験者は、そんな作問者の気概を上回る気概を持って、渾身をこめてそれを打ち返す必要があります。

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 今回の問題は、前回の記事でご紹介した国家公務員擬鏤邯魁(神15年度憲法科目に内容的によく似ていますね。

 推測ですが、上記国家公務員試験に何らかの影響を受けて作問されたものかもしれません。

 この昨年度行政書士試験問題5については、各資格学校の解答が割れに割れ、結局試験センターが公開した解答と一致する模範解答を出した学校はほとんどなかったということでした。

 試験センターが出した解答は、前述のとおり、判例が採っている考え方として誤っている選択肢3だったのですが、

多くの資格学校等は選択肢5を正解としておりました。

 今だに、市販過去問題集等では、選択肢5や4を正解としているものが見受けられます。

 ですので、そういう過去問集をご覧になられている方が、

当ブログの解答理由とご自身がお持ちの過去問集の解答理由のどちらが正しいのかということで、混乱されるといけませんから、

いつものように、他解答正解・解説との比較を行なっておきたいと思います。

 選択肢5を解答としている例では、その理由として、

選択肢1〜4は憲法21条を問題としているのに対して、選択肢5だけが、憲法14条上の問題だから、

あるいは「報道記者のみに対してメモを許可することは合理的措置とはいえない」からというような理由を挙げていました。

 しかし、本問題はあくまでも、判例が採っている考え方として誤っているものを抽出する問題であり、選択肢5は特に判例(レペタ事件判決)がいう考えと異なることはありません。
 
 実際にレペタ事件判決では、

「司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷においてメモを取ることを許可することも、合理性を欠く措置ということはできないというべきである。」

と述べているので、

「報道記者のみに対してメモを許可することは合理的措置とはいえない」

とする理由は明らかに誤っています。

 また、他の選択肢と違う条文に関する問題を抽出せよという問題でもありませんから、

選択肢5が憲法14条の問題を議論している内容だからということも本問の正解を導くための理由とはなりません。

 資格学校の模範解答、市販過去問題集によっては、選択肢4が正解であるとするものもありますが、

その理由として、

「問題文では、「事実の報道の自由は、表現の自由を「想定」した憲法21条の保障のもとにある」となっているが、

実際の判例(博多駅TVフィルム提出命令事件:最大判昭44.11.26)

では、

「事実の報道の自由は、表現の自由を「規定」した憲法二一条の保障のもとにあることはいうまでもない。」

となっており、「規定」が「想定」となっているので、判例が採っている考え方として誤っているものであり、選択肢4が正解である。」

としていたりします。

 しかし、各選択肢は判決文そのままの文章であるという断り書きは問題文に特になく、

ちょっとした単語の違いがあるから、判例の採っている考え方と違うという判断も本問の正解を導くための理由とはなりません。

(ちなみに、想定とは、辞書によると「状況を仮に決めたりすること、あるいはその決めた考え」であるとなっており、想定という用語を使用していても、意味は判例のいうところと変わらないものだと考えられます。)

 当ブログでは、以上のような理由から本問の正解選択肢を3と判断しておりますので予めご了承のほどを宜しくお願い申し上げます。

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憲法演習問題(表現の自由)

 今回は、前回の内容を以下の問題で確認してみましょう。

 問題1.は基本問題ですから、前回の内容が理解できていれば容易に解けるものだと思います。

 問題2.は法的思考力を働かせて考えてみましょう。

(国家公務員擬鏤邯魁(神15年度憲法科目改題)

問題1.

 以下の文章の(A)〜(B)に、該当する用語を下記の語群の中から選びなさい。

「 知る権利は、単に情報収集を国家によって妨げられないという(A)としての性格を有するのみならず、国家に対して積極的に情報公開を要求するという(B)的な性格を併せ持っている。

加えて、個人は多様な事実や意見を知ることによって初めて政治に有効に参加できるという意味において、知る権利は(C)としての性格をも有すると考えられている。」

[語群]a 参政権 b 自由権 c 社会権

問題2.

 以下の1〜5の記述のうち、妥当なものはどれか。

1.

 報道のための、取材の自由は、「知る権利」の「自由権」的な性格に由来するものであるから、その制約はいかなる場合も許されないとするのが判例の立場である。

2.

 裁判の傍聴人のメモ制限と情報収集の自由が問われた事件において、

一般人の行なう「筆記行為は、一般的には人の生活活動の一つであり、生活のさまざまな場面において行われ、

極めて広い範囲に及んでいるから、そのすべてが憲法の保障する自由に関係するものということはできないが、

さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきである」

と判例が述べている点は、「知る権利」の「自由権」的な性格ではなく、「参政権」的な性格を述べたものということができる。

3.

 「社会権」としての知る権利は、政府に対する請求権のみならず、マス・メディアに対する請求権をも包含するものであり、

判例は、情報の送り手であるマス・メディアに対し、憲法21条の規定から直接国民に反論文掲載の請求権が生じるとしている。

4.

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)は、憲法から導かれる「社会権」としての知る権利を具体的権利として認め、同法の目的規定の中に明文化している。

5.

 知る権利の「参政権」的な法的性格について、判例は、「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものである」と述べている。

(問題終わり)

正解は以下です。

| 

1.解答:(A)b (B)c (C)a

2.解答:5
 
「 1について 」


 自由権的な性格に由来するからといって、一切無制約であるということにはなりませんね。

 内在的な制約には服します。

 なお、博多駅TVフィルム提出命令事件(最大判44.11.26)において、最高裁は、


「 報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものである。

したがつて、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障のもとにあることはいうまでもない。

 また、このような報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値いするものといわなければならない。」と述べています。
 
 「事実の報道」は、意見表明ではなく、単に事実を知らせるだけのものであり、

よってこれが表現の自由にて保障されるか否かが問題になるのですが、

事実の報道といえども、内容の編集という知的作業を伴うものであり、

そもそも、事実の伝達と意見表明の伝達との区別も厳密にできず、

また「事実の報道」は、国民の「知る権利」に奉仕するものである等の理由から、

最高裁は、事実の報道の自由も、憲法21条の保障のもとにあるとしているものと思われます。

 しかしながら、報道のための「取材の自由」については、憲法21条により保障されるとまでは言い切らず、

その精神に照らし、「十分尊重に値するもの」というに留まっています。

(学説では、取材の自由も21条により保障すべきであるとする意見が通説です。)

 つまり、報道の自由は人権(原則不可侵)で、対して、取材の自由は十分尊重に値するものではあるけれども、人権というほどのものではないということですね。

 だから、報道の自由よりも、より強く制約をなすことが可能と解されます。

 そして、報道機関の取材活動によって得られたもの(例えばTVフィルム)が、

裁判の実現という憲法上の要請がある場合に、証拠として必要と認められるような場合には、

諸般の事情を比較衡量した上で、取材の自由がある程度の制約を蒙ることになってもやむを得ないとしています。

 そして、すでに報道されているTVフィルムが証拠として使用されることとなっても、将来の取材の自由が妨げられるおそれがあるにとどまり、

この程度の不利益は、裁判の実現という憲法上の要請を満たすためには甘受しなければならないと上記判例では述べています。

 以上から判例は、取材の自由に関して、いかなる制約も許されないとはしておりませんから、この選択肢は妥当ではないということになります。

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「 2について 」

 2は、レペタ事件(最大判平1.3.8)の判示の一部です。

 同判例に照らすと、「筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして「尊重されるべきである」」と結論づける前半部分は正しいです。

 この筆記行為の自由も、「そのすべてが憲法の保障する自由に関係するものということはできない」として、憲法上の人権であるとは言い切っておらず、

ただ、「憲法21条1項の規定の精神に照らして「尊重されるべきである」」とだけ述べております。

 ですので、取材の自由と同様、人権ではないので、人権よりも強く制約することが可能であると判例は考えているようです。

 しかも、前述の「取材の自由」が、「十分尊重に値するもの」とされているのに対して、

「筆記行為の自由」については、「尊重されるべきもの」とし、

「取材の自由」よりも「筆記行為の自由」の方が保障するとしても、保障程度が低くてよいと読めるかの内容となっています。

 取材を通じて行なわれる報道は、国民の知る権利を通じ、「自己統制の価値」たる社会的価値を形成されるべきものであり、

対して、一般人の行なう「筆記行為」は、どちらかというと「自己実現の価値」に重きがおかれるべきものであり、

両者の尊重の度合いは異なり、「取材の自由」は、「「十分」尊重に値するもの」とされ、

「一般人の筆記行為の自由」は、「十分」がはずされ、ただ単に「尊重されるべきもの」とされていると解されます。

 つまり、「取材の自由」>「一般人の筆記行為の自由」という感じになるということでしょうか。

 以上から、報道の公共性、ひいては報道のための「取材の自由」に対する配慮に基づき、

司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷においてメモを取ることを許可することも、

合理性を欠く措置ということはできず、憲法14条1項の規定に違反するものではないとレペタ事件判決では述べています。

 (記者クラブが報道分野において果たす役割は大きく、また記者クラブの人達にメモを取る自由を認めたとしても、

訴訟進行を邪魔するようなことを記者がするわけはないだろうということから、

(この事件以前に、ある団体が集団で傍聴席に陣取り、わざとガサガサと音を立てながら一斉にメモを取り、訴訟進行を妨げたことがあったようなのですが、

職業記者ならそういうことをする可能性は低いだろうという意味だと思います。)

記者のみにメモを取る自由を与えたのであって、格別の保障や一般市民にはない特権・権能を与えたものと位置づけられるものではないが、

結果的には、報道機関と一般傍聴人との間にメモの取扱いについて差異を設けたことになっているとする考え方もあります。)

よって、2選択肢の後半の、「「知る権利」の「自由権」的な性格ではなく、「参政権」的な性格を述べたものということができる。」という部分は、

「「知る権利」の参政権的な性格、自己統治の価値的な性格ではなく、

「自由権的な性格、自己実現の価値的性格」を述べたものだ」

と解するのが相当であり、ゆえに妥当ではないということになります。

 

「3について」

 

 「情報の送り手であるマス・メディアに対し、憲法21条の規定から直接国民に反論文掲載の請求権が生じる」との考えを、「アクセス権」といいます。

 アクセス権とは、国家の力を市民が借りて、同じ私人であるマスメディアに対して、自己の意見を表明することを請求できるとする権利です。

 しかし、名誉毀損の成立を要件とする反論権(狭義の反論権)ならまだしも、

そのような要件を問わないのアクセス権(広義の反論権)を容易に認めることには問題があります。

 つまり、アクセス権(狭義の反論権・広義の反論権・その他のマスメディアを利用した意見表明権)を考察すると、

私的自治の原則を害しないか、マスメディアを萎縮させないか(私人からの反論請求を恐れて、批判報道を差し控えるということが起こらないか)、国家による言論統制につながらないかというような問題点が浮上するわけです。

 このような問題点があるため、アクセス権については、憲法21条1項から直接導き出されると解することはできず、具体的な立法がなければ認められないとするのが判例の立場だと解されます。

 結局、以上のような論理から、判例(産経新聞事件:最判昭62.4.24)は、

「情報の送り手であるマス・メディアに対し、憲法21条の規定から直接国民に反論文掲載の請求権が生じる」とはしておりませんので、3の選択肢も妥当ではないということになります。

 

「4について」

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)は、憲法から導かれる「社会権」としての知る権利を具体的権利として認め、同法の目的規定の中に明文化しておりませんので、この選択肢も妥当ではありません。

「5について」

 最高裁は、博多駅TVフィルム提出命令事件(最大判昭44.11.26)において、

「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものである。」と延べ、

まさに知る権利の参政権的な法的性格・機能について言及しています。

よって、これと同一内容を記述している選択肢5は妥当であり、5が正解となります。

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自己実現・自己統治と知る権利

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 表現の自由には、自己実現と自己統治の価値とよばれるものがあるとされています。

 「自己実現の価値」とは、

個々人が表現活動を通じて自分自身の人格を高めていくという「個人的価値」です。

 人間は、人格を表現するために、会話したり歌ったり踊ったりして、喜びや悲しみを表し、

他人に伝え、それを受けて返ってきた他人からのリアクションを見聞きしてまた、新たな学びを得て成長していくものです。

 人間の人格向上のためには、表現行為が自由に行え得るということを保障しなければならないわけですが、

ゆえに表現の自由のひとつの側面として自己実現の価値があるということになります。  

 「自己統治の価値」とは、表現活動を行なうことにより、個々人が政治的な意思決定に参加することができるという社会的価値です。

 民主主義を発展させていくためには、個々人の政治に対する意見交換が自由にできる環境がなければなりません。

 そして、各人から表明される政治等に対する意見は、他人の意見と議論を交わす(競争する)ことによって、磨かれ、

そして真理に近づいていくということになります。(思想の自由市場論)

 自由な政治に対する意見交換が保障されることによって、民主主義が進化し、発展し、もって民主社会の実現に貢献するということになります。

 こちらは、個人的な目標の実現というよりも、社会目標の実現に資するということから、社会的な意味がある価値だといえます。

 このように表現の自由は、個人的価値とともに、社会的価値があるものであり、とりわけ後者の価値は、民主制と密接不可分な関係にあるということになります。

 ゆえに、精神的自由の中核に位置する表現の自由は、とりわけ経済的自由に比べて優越するという考え方にもつながってくるわけです。

 表現の自由に関する法理の出発点は、この「自己実現と自己統治の価値」にあります。
 
 ここから表現の自由に関する法理の全てが導き出されていくということになりますので、この2つの価値の把握がとても重要になってくるということです。

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 表現とは結局、情報のコミュニケーションと考えてもよいわけですが、

ということは、情報の送り手と受け手がいなければ、情報コミュニケーションは成立しないということになります。

 古典的法理では、表現の自由を論ずるときに重要視されるのは、「情報の送り手」の方でした。

 「情報の送り手」がいかに自由に情報を発信できるかという点に重点が置かれていたわけですね。

 しかし、20世紀になって、情報の価値が高まるとともに、国家やマスメディアが巨大化し、

それが、情報の源泉、情報の送り手としての機能を事実上独占することにより、

逆に、一般公衆は単なる情報の受け手として固定化されていくことになります。

 こうなると、受け手側にも何らかの憲法上の権利が与えられなければ、

価値ある情報を独占している国家やマスメディアとの情報格差が広がり、情報操作をされてしまったり、

恣意的に都合のいい情報だけ送られ、都合の悪い情報は隠されるということになってしまって、

情報の受け手である一般公衆は、自己の思想や意見を適切なものとして形成することができなくなります。

 このように情報の送り手と受け手との分離状態が固定化されてしまうと、自由な情報交換を保障し、もって真理への到達へと導くための表現の自由も、

絵に書いた餅となってしまうわけですから、受け手の権利という面から表現の自由を再構成する必要に迫られてくることになります。

 そういうわけで、情報の受け手の権利である、「知る権利」という概念が登場してくることになります。

 以上から、表現の自由は、その内容として、

1.送り手の権利としての「情報提供権」、

2.受け手の権利としての「情報受領権」(消極的に情報を受領する権利)

3.2.と同様、受けての権利としての、「情報収集権」(積極的に自ら情報を収集できるとする権利:狭義の知る権利とも呼ばれる)

の3つがあるとされ、

後者2者を合わせて、「知る権利」と呼ばれています。

 (情報受領権は、消極的情報収集権、情報収集権は、積極的情報収集権と呼ばれる場合もあります。)
 
 この「知る権利」には以下の2つの法的性格があるとされています。

1.  情報収集活動をゆえなく公権力によって妨げられない権利。

 市民の情報収集活動を国家に対して邪魔するなと要求する権利(国家の介入を排除する権利、不作為請求権)ですから、

これには「自由権」的な性格があるということになります。

2.  公権力に対して、保有する情報の開示を請求できるとする権利。

こちらは、国家に対して、情報を開示せよと求める権利(国家の介入を要請する権利、作為請求権)ですから、

これには「社会権」的な性格があるということになります。

また、「知る権利」の法的機能としては、

「自己実現の価値」的な「個人権」的機能と、

「自己統治の価値」的な「参政権」的機能があるとされています。

 そして、これらの「知る権利」も、憲法21条1項により保障されていると解するのが学説における通説的立場となっており、

また判例も、「知る権利」は憲法上保障されているということを前提としています。

ただ、知る権利の自由権的側面については、憲法21条1項に裁判規範性があり、

侵害された場合に憲法21条1項を直接の根拠として救済を求めることが可能であると解されるのに対して、

社会権的側面たる「情報開示請求権」については、

法律によって詳細な要件や手続が定められなければ、

公権力の恣意的な要件や手続によって、個人のプライバシーを侵害するような情報公開がなされるおそれがあるため、

憲法21条1項を直接の根拠として情報公開することはできず、

情報公開に関する要件や手続を具体化する立法、

すなわち情報公開法の制定がなければ、具体的な裁判規範性は認められない抽象的な権利であると解されています。

(抽象的権利説:判例通説の立場です。

なお、情報開示請求権が侵害された場合も具体的立法を待つまでもなく、憲法21条1項を直接の根拠として救済を求めることができるとする具体的権利説という考え方もあります。)

 そして、実際に知る権利の抽象的社会権的側面を具体化するために「情報公開法」の制定が行なわれています。

 ただ、情報公開法の1条におかれている目的規定においては、

上記のような趣旨(憲法21条1項から導き出される知る権利の抽象的側面を具体化するためという趣旨)は述べられておらず、

「政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資すること」

を目的とするとだけ述べ、「知る権利」についての言及はなされていません。

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 ドイツでは権利も法も「レヒト(Recht)」といいます。

 ややこしいですから、権利にあたるものは、「主観的意味におけるレヒト(主観的レヒト:subjektives Recht)」といい、

法にあたるものは、「客観的意味におけるレヒト(客観的レヒト:objektives Recht)」といいます。

 行政事件訴訟法上の「主観訴訟」(抗告訴訟・当事者訴訟)は、「個人の権利救済」を目的とするものですが、その名称は主観的レヒトに由来しているといわれています。

 行政の違法行為の是正を通じ「法秩序」の保護を目的とする行政事件訴訟は、ご存知のとおり、「客観訴訟」(民衆訴訟・機関訴訟)ですが、これももうおわかりですね。

 名称の由来は、客観的レヒトにあるということになります。

 ドイツの憲法学説では、ドイツ憲法(ドイツ連邦共和国基本法)上の基本権(基本的人権)には、

1.権利・人権、すなわち、主観的レヒトとしての側面と、

2.法秩序を維持する、すなわち、客観的レヒトとしての側面

があると考えたりします。

 そして、主観的レヒトとしての基本権は、国家に対してのみ効力を持ち、私人間に効力を及ぼすことはないが、

 客観的レヒトとしての基本権は、法秩序全体に対して効力を及ぼすと考えます。

 そして、法秩序全体に効力を及ぼすとされる客観的レヒトとしての側面を持つ基本権が、法秩序全体に効力を及ぼす場合、私人間に直接効力を及ぼす(直接効力説)のか、間接的に効力を及ぼす(間接効力説)のかが論じられることになります。

 「うん。何かに似ている??」

 そう、日本の直接適用説・間接適用説のモデルの起源はドイツ憲法理論にその源流があるものと考えられます。

 本場ドイツでも、日本と同じように「間接効力説(間接適用説)」が、ドイツ連邦憲法裁判所において採用されています。

 ドイツで間接効力説が採用されたのは、以下のような事件(リュート事件)に対する判決である「リュート判決」においてです。

リュート事件とは、

ナチスに肩入れし、第二次世界大戦後追放された、映画監督(ハルラン)が戦後復活するにあたり、それを批判し、市民に対し当該監督の映画を見に行かないようキャンペーンを張った「リュート」という人物に対し、

リュートに批判された側の映画会社(ドムニク映画会社他1社)が下級裁判所にリュートのキャンペーン活動禁止の仮処分申請をしたところ認められたのですが、

これに対して、リュートが憲法裁判所に憲法異議申立を行い、憲法裁判所がリュートの主張を認めたというものです。

 つまり、私人間の問題であるにもかかわらず、リュートの「表現の自由」という基本権(人権)を裁判所が救済したという形になっているわけですね。

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 リュート判決においてドイツ連邦憲法裁判所は、

ドイツ憲法上の基本権は、価値中立的秩序ではなく、客観的な価値秩序を定立するものであり、しかもその価値体系は、ドイツ憲法上の根本的決断として、すべての法領域で通用するというような考え方を打ち出します。

 価値中立的とは、基本権が価値を計る物差しにはならないという意味だと思いますが、上記はそうではないといっているわけですね。

 基本権は、価値を計る物差しであり、客観的な(客観的レヒトすなわち、「法的」)価値を持ち、それは「法」(客観的レヒト)秩序全体に効力を及ぼし、

民法等を含めたすべての法領域で通用するものであるといっているものだと思われます。

 ゆえに、全ての民法上の規定も、基本権の価値観と矛盾するものであってはならず、

民法等を解釈するにあたっても、当該価値観に基づき解釈されなければならないという結論につながります。

 この考え方は日本の間接適用説に瓜二つとまではいえないまでも、よく似た考えですね。

 おそらく日本の間接適用説は、このリュート判決の影響を受けたものだと思われます。

 では、以上を確認するため以下の問題を考えて見ましょう。

問題:

 私人間における人権規定の効力に関する以下の記述は、最高裁判例が述べるところであるか否か。

(行政書士試験 平成18年度憲法科目「問題3:選択肢3」より以下引用)

「 日本国憲法は価値中立的秩序ではなく、その基本的人権の章において客観的な価値秩序を定立している。この価値体系は、憲法上の基本決定として法のすべての領域で通用する。いかなる民法上の規定もこの価値体系と矛盾してはならず、あらゆる規定はこの価値体系の精神において解釈されなければならない。 」

(引用終わり)

正解は以下です。

| 

正解:妥当でない。

 問題文の内容は、リュート判決において判示された原則を表したものだと思われます。

 前述したように日本の「間接適用説」の源流となった考え方ではあるのですが、全く同じものではなく、また日本の最高裁も、この考え方を丸呑みしたものとは思われませんので、最高裁が述べるところではないということとなり、妥当ではありません。

 なお、市販過去問題集では、本問を「直接適用説に基づくものであるので妥当ではない。」等と解答するものが見受けられますが、

元になっているのがそもそもリュート判決だと思われますので、直接適用説とは相反しますし、

また問題文にも、憲法上の価値体系をもって民法の解釈をすべしと読めることを書いているわけですから、直接適用説の説明ではないことは明らかだと思います。

 以上から当ブログでは、本問を、ドイツ判例理論に基づく間接効力説を指しているものだと考え、その意味で、最高裁判例が述べるところではなく、妥当ではないと判断しておりますので予めご了承のほどを宜しくお願い申し上げます。

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